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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■PTSD?/映画『鉄人28号』
じゃあこの映画つまんないかというと、これが困ったことにすっげえ面白いんだよ(涙)。実写版『デビルマン』とどちらが下か、なんて、『鉄人』に対して失礼だ。比べ物にならないくらい『鉄人』のほうが映画としての完成度は高い。いや、製作者たちの人間としての底の浅さがそのまま弱点となっていた『ローレライ』よりもよっぽどエンタテインメントしているのである。
CGにさえ目をつぶれば、脚本は実にドラマツルギーのツボを押さえていて素晴らしい。金田正太郎の「成長」が、そのままドラマとなってカタルシスを生んでいるのである。辛気臭いままでいっかな前に進んで行かないアニメ版『鉄人』の今川泰宏監督は、脚本の斉藤ひろし・山田耕大両氏と監督の冨樫森氏の爪の垢を煎じて飲むがいい。人生の「苦悩」とは、そこで足踏みし、誰かの同情を引くために行うものではない。「前に進む」ためにあるのである。
CGにさえ目をつぶれば、キャスティングも実にドラマに有効に機能している。CMではなんかしょぼい感じに見えた正太郎役の池松壮亮くん、これがだんだんと「正太郎らしく」見えてくるのには感心。もっとも「ショタコン」の対象となるかどうかは関知しないが。原作の不乱拳博士に当たる宅見零児を演じる香川照之も、いかにもなマッドサイエンティストぶりを好演している。敷島博士を「立花真美」という美少女キャラに変更して蒼井優に演じさせたのは賛否が分かれると思うが、まあ、水辺での「好きよ」シーンがなければまだ許せたかと思う。……別に「淡い初恋」ドラマじゃねえんだから、アレは要らねえだろ。ああ、ハズカシ。
CGにさえ目をつぶれば……いや、ともかく見ていただいたほうが早いでしょう。ドラマ版『ジャイアントロボ』に対するオマージュをこういう形でハッキリと見せてくれたおかげで、『アイアン・ジャイアント』の何がダメだったかも見えてくると思います。
ああ、あと、正太郎君の半ズボンにも目をつぶってください(笑)。
03月22日(火)
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