ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491675hit]
■特撮と絵画展と映画と美術展とアニメとドラマと/映画『ベルヴィル・ランデブー』ほか
それから大濠まで足を伸ばして、福岡市美術館へ。今日一日は予定があれこれあって大忙しである。
目当ては、前回、ウチの劇団公演の美術を担当してくれた細川嬢の大学卒展。さっき書いたようにしげが美術に興味示してくれないから、なかなかこういう展覧会にも来れない。ここの美術館に来たのも10年ぶりくらいじゃないか。前来たのは確か「手塚治虫展」の時だ。
美術系の大学で有名どころと言えば、福岡では数えるほどしかないので、逆に言えば福岡で本気で美術関係に進もうという人間は1ヶ所に集中することになる。市民ギャラリー室二つ、特別展示室二つを借り切り、絵画、写真、ポスター、絵本、装飾、調度、陶芸、建築モデル、アニメなどなど、何百人もの作品がひしめき合っているのだが、これが見ていて実に面白い。中にはもちろん「なんだかなあ」って感じの凡庸なもの、一人よがりなものもあるが、総じて若さのエネルギーで魅せているのである。才能の息吹が感じられる作品も実に多く、この中から頭ひとつ抜き出て世に羽ばたいて行こうとするには並々ならない根気と努力が必要だろうというのがヒシヒシと感じる。言っちゃなんだが、同人オタクの腐女子のレベルは全体としてはかなり低いよ。技術の面だけでなく、「人に魅せる」ことに関して、志に差がありすぎるんである。自己充足に陥っていて、他人との間に壁を作っといて、それでいてモノを売ろうってのはベクトル歪んでないか。
……まあ、それはそれとして、この何百点の作品の中から細川嬢の作品を探さねばならないわけだが、これがまたひと苦労でした。こういうときの常として、探しモノは必ず最後に見つかるものであるが、会場を四つ回って、細川嬢の作品が展示してあったのは、最後に回った特別展示室でした。もっとも、そのおかげでほかの人の作品もじっくり見られたのだが。
細川嬢の作品は土管を模した鉄製の椅子が二つ。色は黒っぽいのと茶色っぽいの(色弱の言うことなのでアテにしないように)、シックでいい感じで、インテリアとしては洋間ならばどういう部屋でも汎用が効きそうである。肌触りもよくて頑丈、黒い方には両端に互い違いに取っ手が付いている。機能とデザインのバランスを取ることはなかなか難しいと思うが、部屋にこの椅子を置くことを考えたとき、取っ手が互い違いになっているということはつまり、これはどちらからも座れて足を取っ手のない方に伸ばせる仕組みになっているわけだ。ちょっとした工夫だけれども、よく考えられている。作品のタイトルを見てみると、「のびやかであること」。なるほどその通り(^o^)。管の中は物置にもなるかな。
私は職人の家系に生まれているので、道具や調度というものは「使えなけりゃあ意味がない」と思っている。使うのがもったいなくて飾る場合もあろうが、初めからデザインだけが先行していて、床の間に飾ることが目的になっているようなモノは好まない。細川さんの作品、ウチじゃあ狭くて置けないが、広いリビングのある家なら、充分「使えて」しっくり来るのではなかろうか。
写真集も隣に置いてあったのだが、こちらは舞台美術を撮影したもの。布を切り取って空間を演出し、照明に工夫を凝らし、幻想的なイメージを作り出しているものが多い。写真だけではよく分からないが、実際にそこに人を立たせたとき、布の隙間から光が当たって、役者の表情が能舞台のように揺らめく効果も出せるのではないかと思わせる。そこ間で計算しているとすればたいしたものである。浅倉摂さんの舞台にこういうのがあったので、影響もあるのだろうかと想像する。
細川嬢に会えることは期待していなかったのだが、ちょうど作品を見ている最中に細川嬢が見える。食事か何かで外出していて、今し方帰ってきたところだとか。しげが「ボイんちゃ〜ん!」と仇名で呼びかけるが、場所柄をわきまえてないのが痛い(~_~;)。細川嬢があまり気にしてないから有り難いのだが。……だから人に勝手に仇名付けまくる癖、直せって。
[5]続きを読む
02月06日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る