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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■だから鬱になってるヨユーなんてないんだって/『鋼の錬金術師 シナリオブック vol.1』
 原作ファンの方には申し訳ないが、私は原作よりアニメ版のほうが面白いと思ってる派である。もちろんメディアが違うので単純比較はできないし、優劣を競うのも無意味だ。「面白い」ってのはただの「感想」なんで気にしないように。ただ、そこには当然理由があって、それはこのシナリオ集の水島精二監督の脚注を見ればよく分かる。私が「ここのセリフはうまく原作をシェイプアップしてるな」って思ったとこ、脚本家の會川昇さんの功績かと思ってたら、殆ど水島さんの改訂だった。原作の量が少ない分、構成に手を入れてはいるものの、元の會川さんの脚本はかなり原作に忠実なのである。
 映像にする場合、「語りすぎ」「描きすぎ」は禁物なんで、原作にあった「いいセリフ」「いい絵」ってのは必ずしも全部は使えない。ましてや、少ない原作を補完するために多数の設定の付け加え、改変を行わざるをえなかったので、やむをえずカットしたってとこもあると思う。逆にそこをカットできないと、作品はふやけたものにしかならない。原作に人気があってもアニメはコケてって例は多いけど、これはやっぱマンガのアニメ化としてはかなり理想形に近い演出で作られてるのは間違いないのである。井上敏樹の脚本の回だけはふやけてるけど(^o^)。

 横山光輝原作・長谷川裕一漫画『鉄人28号 皇帝の紋章』2巻。
 新アニメシリーズの辛気臭さ、無意味な勿体つけ、青臭くて鼻につくメッセージ性に比べると、長谷川さんの「まんが」っぷりには感動すら覚えてしまう。正太郎、ちゃんと「探偵」してるしさ(アニメ版の正太郎は慨嘆するばかりで冷静さがない)。「なぜオックスは飛べないのか?」なんてセリフ、ゾクゾクするよ。ロボットバトルロイヤルも次巻はいよいよ大詰めになりそうな予感。鉄人・オックスのタッグ対ギャロンか? これは燃えるぜ!

 和田慎二『スケバン刑事』(完全版)2巻。
 描き降ろしカバー、海槌麗巳が随分優しい表情になってるけど、これって『if』を書いた「後遺症」かな?(^_^;) サキも今描くとかなり「カワイイ系」に近くなってる。連載当時ですら古臭い絵で、説明的なセリフは多いし、キャラの底は浅い、正直つまんないマンガだったんで、少女マンガ誌じゃなきゃ目立ちもしなかったろう。それでも今巻の『無法の街』とかは好きなエピソードだったな。町ぐるみ排他的ってとこは、実際あるしね。


 島本和彦原作、『逆境ナイン』の実写映画化が進行中である。
 原作者の島本さんのHP『島本和彦外伝』の本日の日記で、その撮影現場の様子が“熱く”レポートされているのだが、ちょっとサビシイ気分になってしまったのは、「原作のマンガが現在手に入らないのが申し訳ないが」とか、「エキストラの女の子の99.999%は原作マンガなんて知らないんだろうなあ(笑)」なんて自嘲的に書かれているあたり。
 ごく一部の島本和彦ファンが撮影現場にも来ていて、島本さんに気付いてサインを求めてきたのだが、そのあと「あれは誰?」とばかりに「島本和彦なんて知らない人」までもが我も我もと押し寄せて、「団扇だとかTシャツとか帽子とか携帯の電池入れ(を外した裏)だとか紙コップを開いたもの」にサインを求めたのだという。これにまた島本さんが腹を立てもせず、いちいち全部サインしてあげてたというのだから、もう泣けてくるじゃないか。島本さん、「あの場所ではアレが楽しかったからやったのだ。漫画家はそれくらいしか感謝の気持を表せないからなあ」なんて書かれてるけど、別にエラぶった人でなくたって、これは断っても当然のことだ。感謝って、自分のファンでもない人たちになんで感謝の印を見せるんだよ。いい人過ぎるよ島本さん(+_;)。紙コップに描いてもらったサインなんて、そいつ、ウチに持って帰ったら捨てちゃうに決まってるじゃないか。

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09月25日(土)
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