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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■アニメの世界は広いんだぞ/『Heaven?―ご苦楽レストラン』6巻(完結/佐々木倫子)
夜のチャット、今日も盛況。鍋屋さんにヨナさん、昨日に引き続き、あぐにさんも来られる。昼間、グータロウくんが破李拳竜や『レ○ンピープ○』の話題を振っていたので、最初は鍋屋さんが随分ノリノリで『○モ○ピー○ル』について語っていらっしゃったのだが、あぐにさんが来られた途端に「この話題はやめましょう」と打ち切ったのには笑った。露悪的になるのは好きではないが、まだたいそうなことをお喋りしてたってわけではないので、変わり身、と言っては失礼だが、反応の早さが面白かったからである。
マンガ、佐々木倫子『Heaven?―ご苦楽レストラン』6巻(完結/小学館/ビッグスピリッツコミックススペシャル・950円)。
はあ、なるほど、こういう落ちになりましたか。
「ロワン・ディシー」がああなっちゃって、それから伊賀君はああなっちゃうのね(どうなるかは現物を参照のこと)。
ちょっと心にジンと来る終わり方と言えば言えるけれども、あまり「上手く」は感じられない。どこか「唐突」(伏線は張ってあったのだけれども)で、不自然な印象がしてしまう。いや、つまらないわけじゃない。充分面白いんだけれども、読者の大半は、別段このマンガに「時間経過」を求めていたわけではないんじゃないかな。
傍若無人、自画自讃、直情径行、猪突猛進、私利私欲、唯我独尊、無軌道、無節操、無理無体、思いつくままにその困ったちゃんな性格を挙げてみても、黒須オーナーに腹を立てていた読者はただの一人もいないだろう。あのワガママ勝手ぶりに、胸の透くような一つの理想像すら見出していた人もいるんじゃなかろうか。
そんな彼女だからこそ、『サザエさん』や『うる星やつら』のキャラクターたちと同様に、「永遠に続く理想郷」の住人であるほうがふさわしかったと思う。姿をはっきり見せていないとは言え、誰がおばあちゃんになったオーナーを見たいと思うだろうか?(おばあちゃんになっても、きっと凛々しいであろうとは思うが)
『おたんこナース』のときには、全てをギャグで落とすことは、物語の舞台となる場所が場所なだけに難しかろうとは思ったが、今回はレストランである。悲しい終わり方をさせる必要がどこにあったのだろう。どうにも違和感を感じてしまうのはその点である。
もしかしたら、佐々木さんは「反省」していたのかもしれない。最大のヒット作である『動物のお医者さん』は、極力動物の「死」を描かなかった。それは動物を題材にした作品としてはあまりに不自然ではあったが、「理想」を描くマンガとしては、必ずしも間違いとは言い切れない選択であったと思う。
でも、あの作品がヒットしたために、とんだ大迷惑を被ったのがシベリアンハスキー犬である。チョビのかわいらしさ(?)に魅せられたファンで、ハスキー犬を飼う人が増えたのだ。けれど、飼育の難しいハスキー犬は、結局飼い主たちに持て余され、捨てられるという悲しい結末を迎えた。
マンガと現実の区別がつかない人間は明らかにいるのである。その事実に佐々木さんは涙したのではなかろうか。
現実には、全てのものに「終わり」は来る。終わらないものなどない。その「終わり」をちゃんと示さなければ、「永遠」の存在を信じ、誤った行為に走る人間が出てくることもあるのだ。佐々木さんはそう感じたのではないか。だからあのような乱暴な手段を使ってでも物語を終わらせてしまった。もしそうだとすると、あの終わり方はもっと悲しい。まるで『エヴァ』ではないか。
もちろんこれはただの想像で、なにか根拠があるわけではないのだけれど、最近の連載、どこか佐々木さん「らしくない」部分があちこちに見受けられので、勝手な憶測をしてみたものである。できれば次の連載は「最後まで」楽しいお話にしてほしいと願っているのだけれども。
09月11日(木)
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