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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■不明を恥じるハナシ/『ビートのディシプリン』SIDE2(上遠野浩平)
統和機構の合成人間ピート・ビートが受ける「ディシプリン(試練)」の第2章。今回は彼の封印された過去が回想形式で挿入され、現在の時間軸と交錯しながらストーリーが進められていく。
ビートがかつて、モ・マーダーと協力して救い出した金髪の少女、ザ・ミンサー。彼女にどんな運命が待ち受けているかは、ごく最初の段階で見当がつく。にもかかわらず、というよりだからこそ、ビートの「苛酷な試練」が、運命的なものであることが全編をおおうムードとして流れる効果を作り出している。
現在、ビートの抹殺を図ろうとするバーゲン・ワーゲンとの闘いは、「人間戦闘兵器」ダイアモンズのジィドの協力をもってしても苛酷を極めるが、なぜ彼がそこまで追いつめられなければならないのか、それは彼が失ってしまった記憶ゆえにであることを、我々読者は最後の最後で知ることになる。
こういう構成を取らせたらホントに上手いんだよ、上遠野さん。
でも気になるところが全くないわけでもない。第1巻で、確か、「ブギーポップは出さない」とか言ってなかったっけ。あくまで回想シーンでの出演だから整合性はちゃんとあるんだけど、ちょっとテコ入れかな? と思わないものでもない。「ウソつきだ!」とか言って怒るほどのことはないんだけど。
それよか、霧間凪まで登場させたことのほうがやりすぎだったんじゃないか、とやや疑問に思う。なんとなれば、この作品が『ブギーポップ』の「外伝」としての位置しか占めないのであれば、結局彼女も「通りすがり」以上の役割は果たせないことが予測されてしまうからだ。いかにも統和機構の尻尾をつかんだ、みたいな登場のさせ方しても、最後が尻すぼみになったんじゃしょうがないしね。さて、出したはいいものの……という展開にならないことを切に祈るよ。
09月03日(水)
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