ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491684hit]
■「じゃないですか」って言ってる人が多いじゃないですか/映画『用心棒』/『呪恩2』(清水崇・MEIMU)ほか
CS日本映画専門チャンネルで、黒澤明監督の三十郎シリーズ第一弾『用心棒』(1961)、もう何度見たかわかんないけど、放送されてるとやはり引き込まれる。
ダシェル・ハメットの『血の収穫』に想を得ているとはよく言われているけれども、ヤクザとかギャングものの抗争劇だと、自然、孤高のヒーローの対抗手段としては、二つの組のつぶしあいを図るパターンになるんじゃないかね。現に本作の“一年前”に岡本喜八が撮った『暗黒街の対決』(1960)でも三船敏郎の“刑事”は、同じ手段で対立する暴力団を潰そうとするのである。
黒澤エンタテインメントの傑作として評価は高いが、厳しい評価もある。佐藤忠男は「荒唐無稽なヒーローもの」とその現実逃避ぶりを批判していたし、故・田山力哉も「なんであれを誉める人がいるのか気が知れない」とボヤいていた。まあ思想的に語りすぎる佐藤さんの批評はともかくとしても、エンタテインメントにも理解を示していた田山さんも怒ってたってのは、盲信を避けるためにも耳を傾けといた方がいいと思う。確かに、説明過剰なセリフ、逆に説明不足な描写など、穴はやたらとあるんである。
それでも全編に横溢した「余裕」が私は好きだ。実は私が一番好きなのは、もう一人の「用心棒」、本間先生(藤田進)が「昼逃げ」するシーンなんだけれども。あの爽やかな笑顔の楽しさがいいんだよね(^o^)。
昔から気になってたことが一つあるんだけど、ラストで三十郎(三船敏郎)は、卯之助(仲代達矢)がもう銃を撃てないと分かった上で銃を渡したんだろうか。好意的に解釈すればそういうことになるんだろうけれど、もしかしたらそれも脚本の「穴」かもしれないのである。
今度、岡本喜八の『座頭市と用心棒』がDVD化されるから、映画の「用心棒」シリーズで未DVD化なのは、あと稲垣浩監督の『待ち伏せ』だけになった。早いとこ出せよ、東宝。
続けて映画『国際秘密警察 虎の牙』。もうこっちは簡単に書く。
日本で007と言えば、どうしても宝田明か三橋達也ということになってしまうのかな、と、あまりこのシリーズには思い入れなかった。やっぱねえ、外国を舞台にしていながら国産臭さが漂ってるのがねえ。別に外国で起こった事件に、いくら国際秘密警察だからと言っても、日本人が出張る意味はないだろうとか思うんだけれど、なぜかこのシリーズの舞台になる外国(今回はアラバンダ共和国)には日本人風の顔の人間が多いので(^_^;)、三橋達也もさほど目立たずにすむのであった。そこが面白いと楽しめはするけど。
ラストの北見次郎(三橋達也)とクリマ(中丸忠雄)の対決はカッコいいけどどこか横浜の裏路地のビルで撮ったんじゃないかという雰囲気が何とゆーか。ヒロインが白川由美ってのも、今回はちょっと「重い」。
マンガ、清水崇原作・MEIMU漫画『呪恩2』(角川書店・630円)。
映画のコミカライズだけれど、なんと映画の売りの一つである「時間軸の混乱」をちゃんと流れの通りに並べ替え。そして本筋に関係がなくて浮いていた千春のエピソードを完全カット。で、このほうが話がスッキリしてわかりやすく、面白くなってるのだなあ(^o^)。
映画のコンセプトを一から壊しちゃうような改変だけれど、マンガ化した作家から殆ど「批判」に近いアレンジをされてるってこと、監督さんもよく考えた方がよかないかな。これ、映画とマンガのメディアの違いってことだけじゃない問題なんだけどね。
09月01日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る