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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■充実の休日。シャレかい/映画『乱れからくり』/『チキンパーティー』1巻(金田一蓮十郎)/『よつばと!』1巻(あずまきよひこ)ほか
 しかし金田一さん、絵が上手くなったなあ。『ポンキッキーズ』か『セサミストリート』のキャラかと思うようなトリさんと、普通の女の子である毬央たちのキャラが自然に一つの画面で馴染んでいるのである。今時のマンガの一つの完成形って気すらする。『ハレグゥ』も随分キレイなアニメになったけれど、これもアニメ化することにでもなったら、アニメーターの技量が試されるな。単純そうな線に見えるけれど、単純だからこそ、ほんのちょっとした「歪み」が大なしになりかねないのである。
 いや、ホントにアニメにしてほしいぞ。でもって、トリさんの声は山口勝平か岩田光央がやってくれないものか。このお二人なら、思いきりぐーで殴りたくなるトリさんを心地よく演じてくださると思うのだが。


 マンガ、あずまきよひこ『よつばと!』1巻(メディアワークス/電撃コミックス・630円)。
 『あずまんが大王』のあずまさんの、4コマではない本格的ストーリーマンガ。一応、シチュエーションコメディにするつもりなのかな?

 新しく引っ越してきた小岩井さんちには、ちょっとヘンな、小さい女の子が一人いた。その名も「よつば」(「その名も」なんて言うほどではないな)。見るもの聞くものが初めてで、ブランコに乗って大ジャンプはするし、電柱に昇ってセミのマネはするし、クーラーを地球の敵と思い込むし(地球を温暖化してしまうからである)。いったいどんな環境で育ってきたのやら。
 お隣さんの綾瀬三姉妹、あさぎ、風香、恵那はいきなりよつばに振り回されて右往左往するけれど、真っ直ぐで衒いのないよつばのかわいらしさにどんどん惹かれていく。

 『あずまんが』もそうだったけれど、マンガマンガしたキャラで、誇張だって当然あるけれど、なぜかすごく身近に感じるのは、作者のあずまさんにキャラ造詣に関する一家言があるからだろう。
 あずまさんのHP『A−ZONE』に、そのへんの「思い」が語られてるので、ちょっと引用しよう。

 あずまんが大王の時もそうですが、私はいわゆる「○○系」といった型にはまったキャラメイキングはしたくありませんでした。そういう作り方をすることでその「系」が好きな人達がとっつきやすくなるというのはあると思うのですが、そういうキャラってなんか人形っぽくて嫌なんです。読んだ人が後で分類するのはいいですが、作るほうが分類で作っちゃキャラは生きてこないと思う。大阪はいわゆる「天然ボケ系」にカテゴライズされるんでしょうが、天然ボケ少女として描いていたキャラではありません。
 「よつばと!」はその辺を受けつつ、例えて言えば少し化学調味料を減らしてみた感じです。あずまんが大王とは違う調理法に色々とまどったりしていますが、必ずおいしいものを作ろうと思います。

 なんだか泣ける言葉だなあ。つか、あかほりさとる当たりに聞かせてやりたいぞ。
 『よつばと!』にだって、パターンに則ったキャラ造型はされてはいる。「三姉妹」って設定だって、これまでどれだけ描かれてきたことか。けれどあさぎはウルドでもかすみでもないし、風香はベルダンディでもなびきでもないし、恵那はスクルドでもあかねでもない。似て非なる造型が施されていることは誰でも気づくだろうが、さてそれがどんなのかと言われるとうまく言葉では説明できないところにリアルさがあるんである。説明になってないな(^_^;)。
 まあ、さりげないけど、風香が自転車停めるときに「よ」って声出すあたりとか。とーちゃんがバンツ頭にかぶって「パンツマーン!!」って叫ぶとことか。そういうのってありそうな気がしませんか? こういう「表現」が描けることが、このマンガを「強く」してると思うんである。
 リアルだけれども理想。「無敵」なよつばちゃんは、読者にとって一番、「隣にいてほしい」女の子なのではなかろうか。

08月31日(日)
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