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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■「心ある」ということ/『GUNSLINGER GIRL』1・2巻(相田裕)ほか
しかし庵野監督は、ハニー役に誰も予想もしなかった「サトエリ」という超変化球・エビぞりハイジャンプ大回転分身魔球なみを持って来た。これはもう完全に狂っている。島耕作にトシちゃんというのは大馬鹿だが、ハニーにサトエリというのは狂気だ。これはもしかしてもしかするかも。
今度の映画、原作のパンサークローとの戦いという基本コンセプトだけ残して、ほかの設定は殆ど無視してオリジナルでいくもののようだ。ハニーの職業は派遣OL、ということだが、披露された寺田克也デザインのコスチューム、青いワンピースに白いラインが入ってるだけで、印象はコミケの安いコスプレねーちゃんなんだが、それがかえっていいんじゃないか。変身後のキューティーハニーのケバさと好コントラストである。
なんでもコスプレは「30種類以上ある」とかで、「日本映画最多のコスプレ」だとか(^o^)。そりゃ、そんなアホなことやろうって映画人が今までいなかったんだから日本最多に決まっている。庵野監督、これは明らかに初めから「B級・C級テイスト・馬鹿映画」を狙っている。いや、更に意表を突いて、急転直下、あのデザインなのに超マジメな映画を作ってしまうか。ともかくどんな出来になるかこれだけ予想のつかない映画も珍しい。「何やってんだ庵野」と思う人もおられようが、少なくとも無難な映画にはなりそうもない。期待していいんじゃないか。
テレビ『子連れ狼』の第2話「一刀危機一髪!! 獣たちに監禁された男と女!!」を見る。
若山富三郎主演の映画版の第一作『子貸し腕貸しつかまつる』の原作ともなったシリーズ中屈指の傑作『鳥に翼 獣に牙』を元にしているが、原作の暗いムードが随分爽やかな印象に変わってしまっていて、面白くはない。
温泉場に監禁された一刀(北大路欣也)が、「とびっちょ(無宿人)」たちに枕さがしのおりん(大沢逸美)とナニしろと嗾けられるシチュエーションがなくなっている。代わりに「三べん回ってワンと言え」って……。なんかえらく優しい悪人さんたちだこと。昔の萬屋錦之介版テレビでもしっかりナニはしてたのだから、コードに引っかかることはないと思うのだが。テレビはどんどん腑抜けて行くのだなあ。
原作にない、侍の三沢市之進(ひかる一平)とその妻・雪乃(寺田千穂)の設定は黒澤明の『羅生門』、金沢武弘と真砂からの換骨奪胎。これもよくあるアレンジで新味がない。寺田千穂の涼やかな美人ぶりは印象に残ったけれども。
続いて『TVのチカラ』。
行方不明の娘さんを、お母さんが霊能力者、超能力者に探してもらう様子をドキュメント……なんだけど、これがヤラセ番組でないとしたら、テレビスタッフも酷なことをしてるものだ。
ノーリョクシャとか言ってる連中、「男に連れ去られた」とか「湖が見える」とか「もう死んでる」とか、ふざけたことばかり言ってるのである。失踪事件とくれば「自分で消えた」か「誰かに連れ去られた」か、どっちかしかないじゃん。長いこと姿を見せなければ、死んでる可能性が高い。場所はたいてい山の中とか湖だ。連中の言ってることって、「いかにもありそうな」可能性を並べたててるだけだ。つーか、クロワゼットも同じこと言ってたよ。
親にしてみればワラをも掴もうって心情だから、「生きてる」「死んでる」(イタズラっぽい自称「本人」からの電話まであった)って状況に一喜一憂してるんだけど、番組スタッフはあのノーリョクシャたちを本気で信じてるのか? 信じてやってるとすれば、その姿勢はオウムと同質のものだし、信じてなければ親の気持ちにつけこんだ詐欺行為だ。
昔からこの手の番組、忘れたころに作られてるけど、局は「いくらなんでもこれはマズいだろ」って気がつかないのだろうか。ただのバカならまだ救いがあると言えなくもないけど、なんだかそうじゃないような匂いがして、イケスカナイのである。番組タイトルの「チカラ」がカタカナなのも胡散臭いよなあ。
マンガ、相田裕『GUNSLINGER GIRL』1・2巻(メディアワークス/電撃コミックス・578円)。
オビの「アニメ化決定!」の文字に釣られて購入。
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07月14日(月)
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