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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■映画を見る以外に休日の過ごし方なんてあるんですか/映画『音楽』/『プーサン』/『エデンの海』/『日本一のホラ吹き男』
かと言ってこの映画が右翼批判の映画でないことは、左翼学生・泡田(小泉博)が浅薄な知識をひけらかしているそのウラで、実は伯父の政治家・五津平太(菅井一郎)に取り入っている様子からも見て取れる。イデオロギーは右も左もアヤシイもんだ、ということをこの時代に喝破していた和田夏十・市川崑の洞察力には感服するほかはない。
原作マンガにあったと思しいギャグもみな殺伐としている。
派出所に飛びこんでくる拳銃を持った男。「弟を殺して来ました!」と震えながら叫ぶ。応対する警官・甲賀(小林桂樹)は驚く様子もなく、「あ、弟殺しね」と奥に通す。
ザンバラ髪の女がやってきて、「精神病の息子を殺しました!」。甲賀、また「あ、息子殺しね」と奥にやる。
薄汚れた子供がやって来て、「ネズミ殺したよ」。目の前にぶら下げられたネズミを見た途端、「ぎゃあ!」と言って卒倒する甲賀。
警察署への通報が二つ、一つはルンペンの中年男の首吊り、もう一つは若い裸の美女(ガンコさんである)の自殺未遂。署内から一斉に飛び出す警官隊(このあたりはキーストン・コップ調)。全員が美女の方に殺到して、男の方の張り番は、首吊り死体を前に寒空の中、「遅いなあ」と呟いている。
笑えるかどうかは別として(^^)、「時代」は小さなギャグ一つにも横溢している。
今、この映画を見る人の中にはその暗さに閉口して、暗澹たる思いにかられてしまう人もいるかもしれない。失職してちょっとおかしくなったプーサンが部屋でキャベツを頭に乗っけて「うへへへへ」と薄ら笑いを浮かべているシーンなどはたしかにゾッとする。けれど当時の庶民の多くに、そんな言い知れぬ不安を感じる気分があったのではないか。
全く、平和国家ニッポンと言いながら、日本人が戦争の恐怖に怯えないでいられた時間ってのをどれだけの期間、共有できていたというのだろうか。そんなことを考えながら見ていくと、この映画、素晴らしく面白いのである。
あと、市川崑映画には定番のギャグ、フスマの裾挟み、この時代からやってたのを発見。うーん、面白いんだかなんなんだか。
興奮して見てたのに、睡魔が襲ってきて、夕方まで寝る。
休日は昼寝せよ、と遺伝子が命令しているのであろうか。んなワケないって。
目覚めてからもCSに齧り付き。
だからって、見た感想を全部詳しく書いてたら、時間がいくらあっても足りゃしない。このへんでちょっとトバします。
『エデンの海』。
山口百恵文芸シリーズ第4弾、でもって三浦友和以外とコンビを組んだ初めての作品でもある。お相手は南条豊だけれど、映画自体、教師と生徒の禁断の恋、と言っても「高校教師」的な妖しいムードはまるでなく、健康的というよりはお子様ランチ的なヤリトリが延々と続いて、今見ると気恥ずかしくなるばかりだ。でも当時はこれでもドキドキしながら見てたんだよなあ。
興行的に弱いと踏んだのか、山口百恵が初めて水着姿を披露するし、体操服姿でおしっこちびっちゃうなんてサービスサービスなシークエンス(何でや)まである。でもやっぱり山口百恵が演じるには違和感ありまくりの役だ。
百恵ちゃんにレズ的愛情を寄せるヘンなオバサン役に樹木希林。逆に先生を一人占めされて嫉妬するクラスメートにデビュー当時の浅野温子。冷徹な前のクラス担任教師に岸田森。南条豊に思いを寄せる女教師に紀比呂子。陰険なヘコキ教頭に井上昭文。温厚な校長に伊藤雄之助。役者はみんないいんだけどなあ。
『日本一のホラ吹き男』。
植木等主演、「日本一」シリーズの佳作。
これも何度見たかわかんないなあ。やたらテレビでも再放送されてた気がするけれど、一番調子よく出世しちゃう話だから、人気があるのかも。でも結局はどれも似たり寄ったりだよな。時々『ゴマスリ男』とかと混同しちゃうので、定期的に見返す必要があるんである。
オリンピックの陸上選手だった植木等、アキレス腱を切っちゃって選手生命を断たれちゃうんだけれど、ご先祖様の巻物を発見して、心機一転、ホラを吹いてうまいこと出世しちゃおう、と太陽電気に就職する。
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02月11日(火)
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