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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■役者が名前を出すということ/DVD『You Are The Top 〜今宵の君〜』/『一番湯のカナタ』3巻(完結/椎名高志)ほか
 本公演では加賀丈史が作曲家の役にキャスティングされていたが、急性虫垂炎でいきなり代役になっちゃったそうである。役造りにも浅野さん、いきなりで相当苦労したらしく、収録DVDではメガネにヒゲを生やしているが、これも公演中に少しずつ変わっていったのだそうな。
 それにしてもいつもいつも思うことだが、キャラクターのネーミングはもうちょっと考えたらどうか。いくらなんでもササニシキから取って「笹目にしき」はないだろう。観客もちょっとは笑ってたが、少し引いてた気がするぞ。

 深夜のリハーサル室で、ピアノを間に争い合う二人の男。
 一人は作詞家の吾郎、もう一人は作曲家の仁。
 二人は親友だったが、性格は全く逆。おっちょこちょいだけれど社交家の吾郎、芸術化気取りで融通の効かない仁。けれどそんな二人が仲違いせず、ここまでやってこれたのは、間で仲を取り持っていた女性歌手のにしきだった。
 三人は次々とヒット曲を飛ばす。彼らの姿は、まさしくゴールデントリオの名にふさわしかった。
 二人は、ともににしきに恋をする。けれどにしきが結婚した相手は二人とは別の男。失意の底に落とされる二人。トリオはやがて自然解消に……。
 にしきが離婚したとき、二人の男は再び夢を見た。
 けれどその矢先、にしきが交通事故で死ぬ。
 そして、7年が過ぎた……。
 7周忌追悼コンサートのために、吾郎と仁は再び顔を合わせる。今夜中に、彼女を偲ぶ新曲を作らなければならないのだ。けれど、二人の打ち合わせは、いつの間にか、彼女がどちらを好きだったのか、という話にスライドして行く……。

 時間経過に従ってあらすじを書いてみたが、実際には回想シーンが随所に挿入されるために、過去はあるときは10年前、あるときは20年前と、行ったり来たりする。そのたびににしき役の戸田恵子が衣装を替えての七変化を見せるのだが、これがなんと魅力的なことか。
 あるときは少女のように(でも12歳のフリにはムリがあるぞ)、あるときは少年のように(時々鬼太郎のイメージが混じりますな)、あるときは魔性の女のごとく、あるときは聖母のごとく、二人の視点を変えるごとに同じ日同じ時の出来事でありながら全く別の顔を見せるにしき。
 映画でも、一人の女の過去をいろんな男が語るってネタは結構あるけど、このネタは舞台の方が絶対に生きるんである。

 そして、ついに最後には「回想でない」にしきが現われる。
 彼女の正体はいったい……?
 という結末のところがちょっとヨワイのだけれど、やっぱり三谷さんは舞台をやってるのが一番いいなあ、と思わせる佳作であった。
 音楽は井上陽水。最後は三人のダンスと歌をたっぷり見せる(忘れてる人もいるかもしれないが、戸田恵子さん、もともと歌手なんだよ)。
 三谷さんの舞台を見たことないって人にまず最初に勧めるんなら、この一本がいいかな。


 外食ができないので、またピザを頼む。
 前回持って来てもらったチラシに、「丼物もやってます」だと。既にピザ屋の範疇を越えてるな、ピザ・カリフォルニア。
 でもって頼んでみたカルビ丼、配達ものにしては美味い。でもやっぱりちょびっと割高。

 帰宅したしげと、DVD『名探偵ポワロ』を見る。
 今日は第6巻の『ベールの女』。
 ……やっぱり、クリスティーは長編の方がいいわ。トリックそのものもつまらないが、ラストの「追っかけ」はクライマックスのつもりかどうか知らないが、出来の悪いバラエティなみ。このシリーズが途中から長編スペシャルに移行していったのは正解だろう。


 マンガ、あだち充『KATSU!』6巻(小学館/少年サンデーコミックス・410円)。
 さわやかラブコメに見えながら実は昔ながらの「因縁もの」ってのがあだちマンガの特徴なんだけれど、活樹の父ちゃん、昔、試合で殺した相手の婚約者と結婚してたんですか。……って、ちょっとありがちすぎるんじゃないかなあ。
 いや、その間の事情がくだくだと描かれることはあまりないとは思うけれど、なんかこういう「過去のあるキャラ」を出して来ないとドラマが持たないっていうのは、ちょっと先行き不安なんだけど。

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01月22日(水)
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