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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■「アニメ」ってだけで通じるアメリカ人、どれだけいるんだ/『モーツァルトは子守唄を歌わない』4巻(完結/森雅裕・有栖川るい)ほか
米ディズニーグループが、17日に、アメリカほか日本国外でのテレビ放送向けに、日本のアニメや特撮番組などのコンテンツ(情報内容)を取得する事業を本格的に開始する、と発表。ディズニーがアメリカで配給した宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』がヒットして、日本の作品に海外からの関心が高まっているため、というのがその理由。
全く同時に、アメリカ&カナダの放送映画批評家協会が、『千と千尋の神隠し』を最優秀アニメ賞に選出。これでいったい、いくつめだ。
なんだか「世界の注目を集める日本アニメ」って印象だけれども、厳密に言えばこの「世界」っての、ほとんど「アメリカ」だけなんだよねえ。
何度となくこの日記でも書いてるけど、宮崎駿の世界でのキャリアはこの数年でいきなり上がったわけじゃない。日本の評論家は『ナウシカ』以後のことしか知らないでハンチク言ってるんだけれど、東映動画時代、スタッフとして参加していたころから、その作品は海外、特に「ロシア」や「ヨーロッパ」で賞を取りまくってたのだ。海外のアニメーターたちが仰天してた作画パートが宮崎さんの担当だったってことも多い。「MIYAZAKI,WHO?」ってのはもう30年も前に言われてたことで、それをイマドキ言ってる連中は、アニメをテンからバカにしてたヤツラばかりで、今になって自分たちの「見識の低さ」を糊塗しようと慌てふためいてる。
『未来少年コナン』『ルパン三世カリオストロの城』『名探偵ホームズ』などはディズニーのスタッフだって確実に見ている。だったらとうの昔にディズニーは宮崎作品のアメリカ配給に向けて尽力しててもよかったはずだが、20年近くも無視をしつづけてたんである。ディズニーが「質的には」いかにアニメ界では後進であるか分ろうというものだ。
その「見る目のない」ディズニーに、日本の「宮崎以外の」アニメがどう映るんだろう、と心配になるのだが、相変わらず「中身」を見てるようには思えないんだね。
ウォルト・ディズニー・テレビジョン・インターナショナル・ジャパンのポール・キャンドランド上席代表によると、アメリカでは「デジモン、遊戯王、ドラゴンボールなどが人気がある」んだとか。……宮崎アニメとの共通項はどこにあるのよ。
集英社が『マンガ生活応援マガジン mangaオモ!』ってのを出してたけど(マンガと言ってもほとんど集英社のマンガだけを応援してる感じだが)、そこでも「ジャパニーズ・マンガはハリウッドを越えた?」という特集で、『ドラゴンボール』や『アキラ』のハリウッド映画家を例に挙げて(『鉄腕アトム』の映画化は結局中止になったようだ)、「『もはや日本人にしか分らない』マンガは存在しない」とかぶちあげている。
もちろんそんなのは大ウソで、だったら『サザエさん』だってアメリカでヒットするはずである。日本人だって、『スパイダーマン』や『X‐MEN』の映画には駆けつけるが、原作のコミックまで見てる人は少ないし、第一アレがSFX映画だから見に行ってるんで、アニメ化されたものだったら客が集まってたかどうか、はなはだ疑問だ。『アイアンジャイアント』も『タイタンAE』も『パワーパフガールズムービー』も、日本じゃコケてるんだよ(向こうでもそうでもなかったみたいだが)。
映画だろうがアニメだろうが、なにかを「見る」のにはそれ相応の「素養」が必要になる。これ言い出すとすぐ「アタマのいい悪いの問題か」と怒る人が出てくるんだけど、そんなこと言い出すことの方がよっぽどアタマが悪い。文化の違うものを理解しようと思ったら、相手の文化を予め少しでも理解しておくことが
必要になるってだけの話である。もちろん完全に相手の文化が理解できるなんてこともありえないから、その分は想像力で補って楽しむことになる。
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01月21日(火)
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