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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■アレももう幻の名作/『ふたつのスピカ』3巻(柳沼行)/『定廻り同心 最後の謎解き』(笹沢左保)
 私ももちっと楽な部署に異動できるんなら、給料がちっとばかし下がっても文句はない。っつーか、まともな交通機関も通ってない山向こうまで毎日通わなきゃなんないのは、もうイヤだ(-_-;)。


 帰宅したらギリギリアニメの『ヒカルの碁』に間に合う。ちょうど「伊角編」のあたりをやってるのだな。
 ふとオープニングを見て、監督が神谷純さんからえんどうてつやさんに変わってることに気づく。ここしばらく見てなかったんだけど、どうやらもう変わって1ヶ月以上経ってるらしいぞ。
 また何かオトナの事情があるのかなあ、と勝手に思うが、ただ、初期の西澤晋さんのように「降ろされた」わけではないらしい。神谷さんは「監修」としてまだ名前がクレジットされている。これが最終回に向けてのスタッフ強化ってことならいいんだけど。

 ただでさえ体調が悪いのに、長引いた会議のせいで頭痛がひどい。
 空気の悪いとこに何時間も押しこめやがってよう。休憩もなし、茶の一つも出ねえ。それで何のアイデアが出せるかってんだ。
 なんだか失神するような感じで、8時には落ちていた。
 でも充分には眠れない。12時前に目が覚めてしまうから、結局翌朝にもう一度寝直し。こんなんじゃカラダのリズムが狂っちまうじゃないか。……ってもう狂ってるから風邪が治んないんだよなあ。


 笹沢左保『定廻り同心 最後の謎解き』(祥伝社文庫・560円)。
 再販本を除けば、これが笹沢氏379冊目の単行本、これから刊行予定の『海賊船幽霊丸』が380冊目。
 笹沢氏の絶筆である。
 笹沢氏が生涯400冊を目指して果たせなかった思いを綴ったエッセイ、『四百冊に達せず』も自筆原稿をそのままに収録しているが、衰え行く肉体と精神と葛藤しつつ、自らの無念を語るその周年、作家って商売ってのはやはり業なんだなあ、とつくづく思う。

 実質、最後の作品である『江戸艶女図絵 代理の花嫁』、果たしてこれが70歳を越えた人の筆かと驚くほどに艶っぽい。
 性に無知で、床入れもままならぬ花嫁のために、代わりに花婿と交合して見せる「介添女」。つまりなんですか、オボコ娘に「これはああしてこうしてこうするのよ」って手ほどきするっての?(・・;) ……あまりにもとんでもないんで、てっきりこれって笹沢さんの創作した設定かと思ったら、なんと実在した商売なんだって。『好色一代女』や『きのふはけふのものがたり』などにも表れているそうだが読んでないから知らん(^_^;)。
 川井屋の一人娘、おりんの代わりに介添を務めることになったのは、花婿の平八のかつての想い人、おさと。大木屋の末娘、おさとは七年前に嫁入りして、わずか四年で夫に死別し、以来一人身のままであった。おりんの花婿となる平八は、昔、大木屋に奉公していて、そのころからおさとの方も平八に恋い焦がれていたのだ。
 相思相愛の二人は、それとも知らず、別々の道を歩み、再びこうした奇縁で結ばれる。しかし、二人の睦み合いを陰から覗いていたおりんは、それが愛の表現とも知らず、恐怖を抱く……。
 平八とおさとは、おりんそっちのけで自分たちの営みに没頭しちゃうのだけれど、この描写がもう微に入り細に入り、くんずほぐれつねちっこくて、もしもこれを映像化するんだったら、ぜひともノーカットで30分くらい延々と撮ってほしいくらいだ。それにしてもねー、江戸時代だからしょうがないんだろうけど、アレの瞬間の声が「ああ、極楽」とか「ああ、堪忍」ってのは、なんと言えばいいんでしょうねー、エロスを感じる前に、うっかり笑っちゃいそうだよ(^_^;)。
 いや、ホントに笑っちゃうのは、この声を聞いたおりんが、「堪忍」ってのを文字通り受け取って、おさとが哀願してるのに平八が拷問し続けていると思いこんじゃうとこね。
 確かに、滑稽な勘違いではある。
 けれど、岸田秀曰く、「本能の壊れている」人間には。こういったこともままあることなんじゃないかって気がするね。ましてや江戸時代の商家の一人娘ときたら、世間の淫らなウワサなんかそうそう耳に入ってこなかったんだろうし。

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01月15日(水)
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