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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■食えないモノを食う話/『名探偵コナン 揺れる警視庁1200万人の人質』/『ジャイアントロボ誕生編』(伊達憲星・冨士原昌幸)ほか
 もちろんこの子、は犯人が反省なんてしないだろう、と思っている。でもそれを口に出しはしない。「これ以上、オトナと会話したって意味ない」と悟ってるからである。キャラ萌えのミーハーな客と違ってさ、子供はバカじゃないんだからね(バカなのもいるが)。
 子供向けアニメだからこそ、理想を語るのならもうちょっと強い基盤を持ったドラマを作ってほしいんである。『コナン』の諸作がつまらないのは、結局は作り手のオトナの根性が座ってないからにほかならない。


 『コミック1971』vol.2(週刊アサヒ芸能増刊1月24日号/徳間書店・390円)。
 1970年から数えて1年ごとに、その年の代表マンガを再録していくシリーズの第2弾。昭和で言えば46年、私は小学三年生で8歳だった。
 今回の巻頭を飾るのは、石森章太郎『仮面ライダー』の第1話。カラー原稿が4ページ分復刻されているが、本来は16ページであった。どうせなら全ページカラー復刻してほしかったけれど、そうすると390円って値段が維持できないんだろうなあ。
 当時の記憶をよみがえらせてみると、石森さんの描線が随分「ザツ」になってしまったことにショックを受けたものだった。もちろんこの後もっともっとザツになっていくのだが、マンガ家としての石森章太郎の頂点はこの前年、昭和45(1970)年だったのだなあ、と今にして思う。作品の完成度、という意味で考えれば、『リュウの道』が最高傑作、ということになるか(『家畜人ヤプー』という説も(^o^))。
 それでも原作版『仮面ライダー』はテレビ版よりも圧倒的に面白い。結果的に未完(?)の形で終わってしまったが、二人のライダーにはもっともっと孤独な闘いを続けてほしかったと思う。

 他の収録作のうち、注目すべきはあすなひろしの『寒いから早く殺して』や安部慎一の『背中』など。どちらも青年誌に発表されたもので、小学生だった私はリアルタイムで読んではいない。今や入手困難な二人の珠玉の作品が雑誌形式であれ読めるのは喜ばしい。
 永井豪の『くずれる』は『少年マガジン』で読んだ。ラストが怖くて、当時は二度読み返せなかった。

 1971年。
 当時の社会の出来事を年譜で辿ってみても、覚えているのは「左卜全死去」「大鵬引退」「大久保清の逮捕」「イタイイタイ病」「円、変動相場制へ」「黒澤明自殺未遂」ぐらいのものか。でもそういった社会的な「事件」は小学生にとってほとんど対岸の火事だった。左さんの死去と大鵬の引退は悲しかったが。
 ともかくこのころ、私にとっての「世界」は全てテレビの中にあった。
 ドラマでは『宇宙猿人ゴリ』『天下御免』『おれは男だ!』『なんたって18歳』『大忠臣蔵』『繭子ひとり』『帰ってきたウルトラマン』『仮面ライダー』『好き!好き!!魔女先生』『美しきチャレンジャー』『ぼてじゃこ物語』『つくし誰の子』『刑事くん』『浮世絵・女ねずみ小僧』『シルバー仮面』『ミラーマン』(最後の2本は裏番組どうしで、チャンネル変えまくって見た)。このへんは全部見ていたし、アニメはもっと言わずもがな。
 『カバトット』『アンデルセン物語』『さすらいの太陽』『新オバケのQ太郎』『天才バカボン』『ふしぎなメルモ』『さるとびエッちゃん』『国松さまのお通りだい』『アパッチ野球軍』『ゲゲゲの鬼太郎(新)』『スカイヤーズ5』『ルパン三世』『原始少年リュウ』、これでは外で遊ぶヒマなんて全くなかったのは当たり前だ(^_^;)。
 昭和ガメラシリーズの最終作、『ガメラ対深海怪獣ジグラ』を“日活の映画館”で見たのもこの年(経営悪化していた大映は、最後には日活と合併していたのである)。大映倒産のニュースは学校の帰り道で友達から聞いた。「来年からもうガメラが見られない……」この年最大のショックな出来事だったかもしれない。
 ほかに劇場まで見にいった映画は、『キングコング対ゴジラ』『どうぶつ宝島』『アリババと40匹の盗賊』『ゴジラ対ヘドラ』(教室で「水銀コバルト……と歌って、いやがられたなあ)『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 三大怪獣地上最大の決戦』(ラドンがタイトルにいないじゃん、と怒っていた)。小学三年生だから、一般映画なんか見ない。

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01月06日(月)
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