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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■頑張れ爆走@/第二回日本オタク大賞/『SとMの世界』1巻(ビーパパス・さいとうちほ)/『井戸の中の悪魔』(篠田真由美・秋月杏子)
 マキャヴァリオはセカイを「我が花嫁」と呼び、犯そうとする。それは、かつて「魔王R」が得ていたという万能の力「SとMの書」を手に入れるために必要な「儀式」だったのだ……。

 どのへんが『真珠夫人』なのかっていうと、セカイがしょっちゅう犯されかけてなんとか助かるってシークエンスね(^o^)。マキャヴァリオはどうやら真性の悪魔らしいけれど、何だかんだ言って、いずれセカイは犯されちゃうんだろうな。ソヴュールの助けってのがあまり役に立ちそうにないし、これから先何巻続くかわからないけれど、テレビシリーズにしたら毎回どうやって世界を助けるかに苦心するんじゃないかな(^o^)。しかし、ホントにそんな企画、通るのかなあ。通ったら面白いけれど。
 タイムスリップを繰り返して、毎回別の世界に行くってのもよくある設定ではあるけれど、バラエティな物語を期待はできる。ただし、少女ものだと飛ばされる世界が限定されて狭くなりそうで、せっかくの設定をうまく生かせるかどうかが心配。どうも時間移動はできても空間移動を同時にはできないらしく、フランスから外へは行けないみたいなんだよね。間違っても『タイムボカン』にはならんってことか。日本の過去じゃあ、あまり耽美な世界は描けないだろうし(いや、新撰組ものとかではアリかも)。
 一応悪の魅力のカッコイイ系と、愛玩タイプの美少年系のキャラを用意してはいるのだけれど(まんま『ウテナ』の暁生or冬芽と幹やんけ)、人気が出るかどうかってのが微妙だなあ、と思う。意外にあっさりと次の間で打ち切られちゃう可能性もなきにしもあらず。
 けど、別にセクハラ発言するつもりはないけどさ、少女マンガってもう少し革新してってもいいとは思うんだよ。24年組が台頭していったころから考えると、明らかに現実から遊離していって、御伽話の世界に埋没していってるマンガが増えてるしねえ。けれど現実として、年頃の女の子って、男の愛玩物にされる危険を常にはらんでるよね。セカイもこのままの展開だと、犯されながらも相手の男・マキャヴァリオを愛するようになりかねない。そうなっちゃったら男の思う壷じゃん? と怒る女性ファンも出てきそうだけれど、そんな虫のいいこと考えながら女を犯す手合いだって、実際に男の中にいたりするし、そんでもってホントに女が男を愛するようになっちゃう場合もあるのである。悲しいけど。
 そのあたりの描写がリアルなんで、もしかしたらこの物語、第2の「少女革命」を幾原さんが狙ってるんじゃないかな、とも思うのだ。犯されてもなお、少女は自らの魂を潔く誇らしく気高くして行けるものなのか。『ウテナ』ではそれに対する解答を「男に抱かれたあと、女に走る」という形で提示していたんでちょっとずっこけちゃったが(でもある意味説得力はある)。
 ともかく、この物語世界の意味について描こうと思ったら、2巻3巻程度では足りないということはわかる。できれば人気が出て、5巻、10巻と続いてほしいと思うんだけれど、難しいかなあ。
 

 篠田真由美原作・秋月杏子漫画『建築探偵桜井京介の事件簿@ 井戸の中の悪魔』(角川書店/あすかコミックスDX・546円)。
 ミステリーのコミック化、もうブームを通りこしてごく当たり前の感じになっちゃったけれど、取り上げられる作品が新本格以降の作家ばかりに集中しているのが不満なところである。マンガ家さんたちも松本清張や高木彬光や鮎川哲也や土屋隆夫などに目を向けてほしいものである。内田康夫でミステリを図られてもファンとしては困るんだよ。ふと思ったが、いかにも漫画化されそうな伊集院大介シリーズのコミックがないってのは、栗本薫が自作の漫画化を嫌ってるってことなのかな? 昔、コンタロウが『ぼくらの時代』をマンガ化したことがあったけど(同タイトルのシリーズとは別)、アレが気に入らなかったとかかなあ。

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12月06日(金)
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