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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■妻にはナイショ(^_^;)/映画『OUT』/『プリティフェイス』1巻(叶恭弘)ほか
 北朝鮮の拉致事件で、一番洗脳度の強かった蓮池薫さんの気持ちが随分変わってきたらしい。その立役者であるのが兄である透さんなのだが、一連の事件で私が一番「キャラ立ってるな」と感じてるのがこの方だったりする。
 いや、オウム事件の件でもそうだが、一度かかった洗脳を解くというのは容易なことではない。特に「朝鮮の南北分断は日本のせい」とまで思いこんでいる(日本が荷担してることは否定しないが、一番の元凶は米ソの冷戦じゃないの?)薫さんの洗脳をいかに解いていったものか。透さんの談話によると、相当理詰めで薫さんを説き伏せていったらしいが、こりゃたいしたものである。私もノストラダムスを信じてる人とかユリ・ゲラーを信じてる人とか幽霊を信じてる人とか河童を信じてる人とか(いるのだよ、九州には)、いろんな人に出会ってきてるが、その信念を覆せたことは一度もなかった。覆そうと考えたこと自体なかったんだけれども。
 北朝鮮は薫さんたちの洗脳が解けるとは夢にも思っていなかったのではないかな。だからこそ今まで「生かして」来てたんだし、24年も経ってるんだから身も心も北朝鮮人になってると思い込んでいたのだろう。いや、私もそう思ってた。だからこそ日本に永住するのは厳しいのではないかと思っていたのだ。
 ところがどっこい、五人の洗脳があっさりと解けてきている。どうもこれは五人の方の「演技」ではないようだ。薫さんの場合、透さんの説得が効を奏したのは間違いなかろうが、もしかすると北朝鮮の洗脳技術というのも案外たいしたことがないのかもしれない。というか、自らの体制を過信しているために、単純な情報隠蔽のみで洗脳は事足りるとか考えてたのではないか。
 考えてみれば、「生きて帰って」来られたのが五人だけ、ということは、ほかの人たちは洗脳に引っかからなかったか、早々に解けたということでもあろう。それだけ、「事実」を見る目がしっかりしていたということだ。帰還された五人の方のことを、いささか単純な思考の方々、と言ったら聞こえは悪いが、実際、騙されやすく覚めやすい人たちなんだなあ、という印象は拭えない。もっとも、だからこそ命を永らえることができたわけだろうが。
 そう考えると、北朝鮮の、あるいはアジア諸国の「日本はあの侵略戦争を全く反省していない」って洗脳も、ことによると消すことができる日が来るかもしれないとちょっと期待したくなる。この言葉の一番の欺瞞は、どんなに「反省してます」と言っても、「してない」と相手が拒否してしまえば、反省してないことにされてしまうという点にあるのだが。なぜかこのことについては「日本人が反省してない証拠」を他国の人々は提示しなくていい、ということになってるようなのである。
 将来、北朝鮮が潰れて南北統一がなったとしても、さて、日本に対する敵愾心がそう簡単に消えるとは思えない。それこそ日本人の全てが「反省」しているわけではないことも事実だからだ。一部の連中の高慢をあげつらって、多数の礼節ある態度の日本人までも蔑むアジア諸国の人々の態度はたまったものではないが、愚かさは国の別を問わず、人間であることの必然でもある。やっぱ気長に見ていくしかしゃあねえってことなのかもね。


 マンガ、なかいま強『うっちゃれ五所瓦』3〜6巻(完結/小学館文庫・各670円)。
 デビューは『月刊ジャンプ』の『わたるがぴゅん!』だから、もともとは集英社系の人である。ちばプロ出身だから、初期の作風を見ると、確かにちばてつやの『おれは鉄兵』やちばあきおの『キャプテン』の影響を受けたと思しい画風や「間」が見受けられる。それが、別に『ジャンプ』をおん出たわけでもなく、小学館の『サンデー』に『五所瓦』の連載を始めた時はちょっとした「驚き」だったものだ。しかも「小学館漫画賞」も取っちゃうし。

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11月03日(日)
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