ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491716hit]
■そりゃテレビは全部宣伝でしょ/DVD『ほしのこえ』/DVD『100%の女の子』/DVD『刑事コロンボ 仮面の男』ほか
イスラム社会がアメリカナイズされることに反発する人物を犯人に仕立てたことで物議をかもした作品。よく発売できたな(^o^)。
もう一本、『刑事コロンボ 仮面の男“IDENTITY CRISIS”』。
原語タイトルは心理学用語で「自己認識の危機・自己喪失」の意味。コロンボシリーズ最多出演のパトリック“プリズナー”マッグーハンが二重スパイ・ブレナー役で登場しているが、彼がなぜ二重スパイになったのか、ということがあまりハッキリとは描かれない。そこにこのタイトルの意味を深読みしてみるのもちょっと楽しそうである。
てっきり未見だと思ってたけど、しげと一緒に見ていた。記憶力に関しては私のほうがしげよりよっぽどアテになると思っていたが、そろそろ逆転現象が起きつつあるようである。しげの記憶力レベルは特に向上してなくて、私がボケだしただけかもしれんが。
本話には他にも被害者役にレスリー“裸の銃を持つ男”ニールセンや、CIA本部長役でデビッド“『奥様は魔女』のラリー”ホワイトが出演。ホワイトの声優は表記がないけれど、耳で聞いた感じでは『奥様は魔女』と同じく早野寿郎氏が担当しているように思える。記録はキチンとして欲しいよなあ。
マッグーハンの声は『祝砲の挽歌』に引き続いて佐野浅夫が担当。水戸黄門なんかやってるときは優しいお爺ちゃん、という印象だけれど、声優をやらせるとコワモテだったり渋く固い印象を与える演技が多く、これはなかなかマッグーハンに合っている。
実はこの話には翻訳に関する問題点が一つある。
それは、マッグーハンが自らの罪を認めたあと、ラストのコロンボとの会話なのだ。これが放送当時から「意味不明」ということで、コロンボファンにとっての「謎」となっているのである。
まずは額田やえ子女史によるテレビ版での翻訳。
コロンボ 「笑い話があるんですが」
ブレナー 「ぜひ聞きたいね」
コロンボ 「ある日、ポーカーとね、マージャンが賭をした」
ブレナー 「どうなった?」
コロンボ 「前半はポーカーが有利」
ブレナー 「ところが後半…逆転」
コロンボ 「……その通り」
つまり、「これのどこが『笑い話』なの?」ということなんである。
そこで、オリジナル英語版に当たってみると、これが全然違うのだね。
Columbo "Would you like to hear something funny?"
Brenner "I'd love to."
Columbo "Today, the Chinese, they changed their minds."
Brenner "Did they, again?"
Columbo "They're back in the games."
Brenner "in the games....mah-jong."
Columbo "mah-jong."
昔のノベライズ版(二見書房サラ・ブックス)での訳(三谷茉沙夫訳)を参照すると、比較的原語に忠実ではあるけれども、これもまた微妙に違っている。
コロンボ 「ブレナーさん、笑い話があるんですよ」
コロンボはブレナーの背中に話しかけた。
ブレナー 「ほう? ぜひ聞きたいね」
コロンボ 「きょう、中国人が気を変えたそうで、ゲームに参加するそうです。」
ブレナー 「ゲームに? マージャンのだろ?」
コロンボ 「わかっちゃいましたか」
最新版の二見文庫では、ついにこのやりとり自体がカットされてしまった。どうも何が言いたいのか、訳者がお手上げになっちゃったらしい。それでもプロかよ(-_-;)。
『刑事コロンボ』のファンサイトである『安葉巻の煙』では、「ブレナーの部屋で麻雀牌を見たことがアリバイ崩しのヒントになり、それを皮肉った」とか「mind-change と mah-jongg の シャレなのではないか」など、いろいろな説が披露されているが、実はこれ、この部分だけ切り取っちゃうからワケが解らなくなるんである。
ブレナーは自分のアリバイ造りのために、朝方書いた原稿を、殺人のあった昨夜に書いたと主張した。ところが、昨日書いたはずの原稿に、今朝初めてニュースになったばかりの、「中国のオリンピック不参加」のことが書かれていたのである。
[5]続きを読む
10月27日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る