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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■また上京……?(゚゚)/DVD『刑事コロンボ 魔術師の幻想』/『スパイラル 推理の絆』1〜3巻(城平京・水野英多)ほか
 ここしばらく、しげが迎えに遅れることはなかったのだけれど、駐車場に行ってみると車が見えない。携帯に連絡を入れると「きつくて起きれん」とのこと。
 仕方なく、ミニストップで弁当を買って帰る。もちろんしげの分も。もちろんしげは「ありがとう」のヒトコトもなくただそれを食らうのみなのである。
 何で感謝のコトバ一つ出ねえんだ、と聞いたことがあるが、しげはそれに対して「『ありがとう』なんて負けやん」と答えた。つーことは黙って「搾取」することが「勝ち」か。昔の資本家よりタチが悪いよな。
 なのに私ゃせっせとエサを運んでやってんだからなあ。羽までむしられた親鳥の気分よ、全く(´。`;)。


 DVD『刑事コロンボ 魔術師の幻想“NOW YOU SEE HIM”』。
 原語タイトルは、奇術師が姿を消し、再び現れた時の掛け声から。
 今回の犯人、魔術師ロベルト“グレート”サンティーニは、明らかにハリー“脱出王”フーディーニをモデルとしていて、彼が実際に行った水中脱出術を再現して見せる。その正体が最後に暴かれるラストとも相俟って、このタイトルは実に秀逸である。邦題もコロンボの「完全犯罪なんてアンタの幻想だよ」というセリフに基づいているのだけれど、ややインパクトが弱い。でも「さあ、現われました!」じゃあ、タイトルにならないし、しゃあないか。

 DVDでコロンボを見る時には必ず英語字幕を見るようにしている。これだと日本語訳がいかに苦労をしているか、たまに誤訳をしているかがわかって楽しい。これはテレビ放送だけでは味わえない楽しみである。
 今回登場のフレデリック・ウィルソン刑事(と訳されてるが、原語は“sergent”だから巡査部長)、英語では「ジョン・J・ウィルソン」。すわ誤訳か、と言えばさにあらず、実はこのウィルソン刑事、『悪の温室』に続いての再登場なのだが、そのときは「フレデリック」という名前だったのだ。オリジナル版のミスを日本語訳で訂正してあげたと言うわけ。ウィルソン刑事を演じてたボブ・ディシーも、自分の役名を忘れてたんだろうな(^o^)。
 『悪の温室』の時にはコロンボのむさくるしい風体を見て対立していたのに、今回はすっかりコロンボに心酔していて、「コロンボ警部は完全主義者だからな!」とベタベタベッタリ、やたら根回ししまくるのがおかしい。コロンボの相棒と言えばクレイマー刑事が印象深いが、そこまでベッタリしてない。どっちかというと「また細かいことに拘って」と呆れられてたりしてるから、コロンボのロス警察での立場、余り高くないのかも。

 今話には珍しくもコロンボの声優、小池朝雄に大きな勘違いがある。
 ラスト、サンティーニが観念して述懐する時のセリフに対するコロンボの応答である。

 サンティーニ「私には自信があった。完全犯罪の……」
 Santini:“And I thought I'd performed the perfect murder.”
 コロンボ「完全犯罪? お気の毒ですが、完全犯罪なんてものはないんだよ。それこそあなたの幻想ですよ」
 Columbo:“Perfect murder,sir? Oh,I'm sorry.There is no such thing as a perfect murder.That's just an illusion.”

 で、問題なのは次のコロンボのセリフ。
 「頼むよ」。
 さて、コロンボは何を「頼んで」いるのか? 小池さんの演技は、サンティーニに向かって「いい加減にしてくれよ」とでも言いたげに呟いている。つまり「完全犯罪が可能だなんてばかげたことは言わないでくれよ」という意味に解釈していることがそのセリフ回しから見て取れるのである。
 ところが原音で聞くとわかるのだが、実はコロンボはここで、サンティーニの「後方」に向かって怒鳴っているのだ。

 Columbo:“Officer.”

 ……なんのことはない、この「頼むよ」というのは、ラストでのコロンボのいつものセリフ、巡査を呼んで犯人を連行するように命令しているだけだったのだ。シナリオの訳も当然そのつもりだったのだろうが、声を当てた小池さんが、コロンボの目線を勘違いして、サンティーニに向かって言ったものだと思っちゃったのだろう。

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10月28日(月)
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