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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ドリンクバーの果てに/『フラッシュ!奇面組』1巻(新沢基栄)/『永遠のグレイス』(川崎郷太・伊藤伸平)ほか

 マンガ、野中英次『課長バカ一代ベストセレクション 子供用』/『魁!! クロマティ高校』1巻「黎明編」2巻「登校編」(講談社/マガジンKC・各410円)。
 しげがいきなりこんなもん買ってきました(^_^;)。
 そう言えば、『クロマティ』の連載第1回、『マガジン』で立ち読みしたときまた妙なのが始まったなあ、と思ったもんだったけど、まさかウチに置くことになるとはなあ。
 池上遼一の絵柄で会社ギャグ、ヤンキーギャグをやるってだけのマンガだけどさ、もうこの志の低さがすばらしいね。諷刺とか権威への挑戦とかそんなの全くなし。ただひたすらアホなだけ。話が進むにつれてもう、会社マンガかヤンキーマンガかってことすらどーでもよくなってくる。メカ沢ってなんなんだよ、もう。


 マンガ、川崎郷太原作・伊藤伸平漫画『突発大怪獣漫画 永遠のグレイス』(少年画報社/ヤングキングコミックス・520円)。
 私が買うマンガで、しげが「どうしてつまんないのに買うの?」と文句をつける三大作家はあろひろしと伊藤伸平と小山田いくだと思うが、『課長バカ一代』買ってくるやつには言われたくないもんである。
 でもつまんないと言えば確かにつまんないんだよね、伊藤さん。オタクなのは作品の端々見てても解るんで、ついシンパシーを感じて本を買っちゃうんだけれど、オタクにも付き合って楽しそうな人と鬱陶しそうな人がいて、何となく後者のような気がするんだよなあ、伊藤さん。
 まず表紙が昭和29年版『ゴジラ』のポスターをそのまんまパロってんだけど、さて、イマドキこれをやらかすセンスをどう思うよ、って問題がまず一つある。パロにしては芸がないし、かと言って若い世代にゃ初代『ゴジラ』も見たことねえって人が多かろうから意味ないだろうし。知り合いや友達が表紙を見たとき、喜んでくれるとでも思ってるのかね、伊藤さんは。思ってんだろうな。困ったねえ。┐(~ー~;)┌
 タイトルの『永遠のグレイス』ってのも意味ありげだけれども、「エターナル・グレイス」ってのは「永遠の恵み=神の恵み」を表す言葉らしい。賛美歌にもそういう一節があるし、そういうタイトルや詩を含む曲を発表している歌手も複数いるようだ。原作の川崎郷太監督(すみません、『ウルトラマンティガ』見てなかったんで、どの程度の実力の方かとんと存じ上げませんです)が、このタイトルをどこから引用してきたのかは不明だけれども、作中に特にタイトルへの言及はないから、自由に解釈してくださいってことなんだろう。突然の怪獣の来襲を人々がどう受け入れるか、それもまた神の試練って解釈なのかね。……ちょっとありきたりではないかい?
 いや、基本アイデアは面白いのよ。あとがきマンガで川崎監督も描いてるけど、「60メートルの怪獣が出て来てもビル一つ離れたら見えない」「事件なんてニュースを見てなきゃ知らずにすんじゃう」という視点から、怪獣の破壊を尻目に自分たちのデートのことだけ考えてる待ち合わせカップルを主人公に、というのは実に映画的で面白いんだけどね。
 惜しむらくは、それを演出・表現する実力が伊藤さんには欠けていた、ということだろう。伊藤さんの描くキャラクターの最大の欠点は、好きなキャラの幅が極端に狭いということだ。性格の歪んだ美少女異星人ユニットとか、マシンガンぶちかます美少女テロリストとか、そういう性格破綻者を描かせたらすごく魅力的なんだけども、実は引き出しソレしかない(^_^;)。おかげで、フツーの女の子を主人公として描くことがとことん出来ないんだよねえ。
 主人公の麻美、しょっちゅう何か企んでるようなシニカルな表情を見せるけど、別に何も企んでない。つーか、ドラマの文脈から察するに何も考えてないはず。そんなキャラ、伊藤さんの引きだしにはないから、ついそういうチグハグな絵になっちゃうんだな。で、相方の緑坂だって、あそこまでアホで軽薄で外道なキャラに描くことはない。ドラマ上、緑坂は殺せないんだから、バカはバカでも、もちっと感情移入しやすいキャラにしないと、読者はキャラへの反発を「ドラマのつまんなさ」と勘違いしてしまう。そういう演出も伊藤さんには出来ない。多分、心の底からとことんああいう男が嫌いだからなんだろう。

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08月16日(金)
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