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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■母の呼ぶ声/『フルーツバスケット』5〜9巻(高屋奈月)/『神罰』(田中圭一)
装丁は『手塚治虫漫画全集』のまんまっつーか、ここまで似せてたら盗作と言われてもしかたないくらい。オビに踊ってる手塚るみ子の「ライオンキングは許せても田中圭一は許せません!」のコトバ、ちょっとマジ入ってないか(^o^)。
いやまったく、手塚治虫を神様のように思ってる人にとっては、マジでこれ、噴飯ものではなかろうか。
でもねー、これがねー、恐ろしいくらいに面白いのよ。いや、ギャグはつまんないんだ。ギャグだけを取り上げて説明したら、もうしょーもないというか、誰も笑わねーだろーってくらいにベタ。
例えば、こんなギャグ。シスターが寿司屋を開いているが、海苔を切らしてしまう。主に祈ると、そこに中国皇帝が現れて、冠のてっぺんを剥ぐとそれが海苔。皇帝曰く、「だめだよ、きらしちゃ。」。
……面白い? これだけだと全然笑えないね。
あるいはこんなの。
愛するシモーヌが死ぬ。夫の脳裏に走馬灯のように浮かんでは消える彼女の思い出……。「あなたのいちもつを見ていると安心するの」「え!? 理由? あなたのいちもつが立派だったからよ」「よかった!あちこちケガしてるみたいだけどいちもつだけは無傷だわ!」「あなたのいちもつだけでいいの!! ほかになにもいらないわ!!」「あなたのいちもつのことで頭がいっぱいだから!」……。
なんだか書き写してて人生が無意味に思えてきた(-_-;)。
つまんないなー。とことんつまんないなー。
これだけで笑えるという人がいたら、そいつのギャグセンスを私は思いっきり疑っちゃうぞ。
けれど、これらの最低最悪なギャグが、カンペキな手塚治虫の絵で描かれるのですよ。これがどれだけすごいギャグだかおわかりいただけますでしょうか? え? 神様手塚をとことんコキ降ろしてるのが痛快だからだろうって?
違います。
何がすごいかって言うと、生前の手塚治虫のギャグセンスが、まさしく田中圭一と同レベルのどーしょーもないものだったからです! つまり、このマンガ、手塚治虫が描いたと言っても通用する作品になってるんですよ!
あ、信じてませんね? でも、冷静になって考えてくださいな。ヒョウタンツギとかブクツギキュとか、あなた、ホントに面白いですか? ピノコのアッチョンブリケで笑った人いますか? 『新・鉄腕アトム』に出てくるロボット・アトラスなんて、おしっこ引っ掛けて敵を爆発させる仕組みになってるんですよ。これでギャグのつもりだったんですから、あの神様は。
誰かをからかったり、バカにしたりすることを極端に嫌う人がいるが、悪口雑言には権威的なもの、抑圧的なもの、絶対的なものを相対化する作用もあるのである。手塚治虫を神棚に祭り上げて信奉するだけではその価値を冷静に判断することはできなくなるだろう。
手塚治虫はいやらしい。手塚治虫はくだらない。だから面白い。田中圭一は絶妙の模写でそれを証明してくれているのだ。こうなったら『グリンゴ』だけじゃなくて『ネオ・ファウスト』も『ルードウィヒ・B』も『火の鳥 アトム編』も全部田中圭一に続きを描いてもらったらどうだ。全部エロにして(^o^)。
ブラック・ジャックとロックが懸命になってギャルゲーの中の和登サンやサファイアやメルモを落とそうとしてる姿って、リアリティあるよな。手塚治虫がもしも生きてたら、ブラック・ジャックの新作で絶対に似たようなシーンを描いてたに違いない。なんたっていしかわじゅんと吾妻ひでおのキスシーンまで描いてた人なんだから。
でも藤子・F・不二雄の模写は似てないぞ。永井豪はまあまあ。本宮ひろしと福本伸行は……まあいいか(^_^;)。
DVD『パワーパフガールズ』をかけながら寝る。
08月15日(木)
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