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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■漫画映画復活!/映画『猫の恩返し』/『ああ探偵事務所』1巻(関崎俊三)/『美女で野獣』1巻(イダタツヒコ)ほか
煮たぎったカレーの泡立ち流れる表現はモノスゴイが、これもCGのムダ遣い(^_^;)。ゆかりさんの声をアテてる鈴木京香の声がもうすっげー色っぽい。こういう声を聞くと、声優専門の役者養成って違うよなあ、という気になる。
でも、ゆかりさんが口から火を吐いて地球を何周もするシーンは時間が長過ぎ。全体的に百瀬監督の演出、間のとりかたが頗るヘタである。
4、「ダンス」
線画によるメイン3人のダンス(まんまや)。
アングルも動きも凝ってるし上手いんだけれど、やっぱり実験アニメ。このあたりで会場の子供たちが親に「まだ終わらんと?」と言い出した。そりゃそうだよ、だっていくら衣装を変えたりしてもさあ(裸になったりバレエの恰好したって笑えるものではない)、ただ無意味に3人が踊ってるだけだから。
5、「美女と野中」
見て一発でわかる、うつのみやさとる作画。全く、技術のある人をムダ遣いさせてるよなあ。私はこの人の作画見てるだけで満足なので、話に中身がなくてもOK。電車の中で野中くんが眠りこけた美女に寄りかかられてドキドキする話。
6、「初恋」
映画として見た場合、まとまってるのはこの一本のみ。水彩画やパステル画風の絵が交錯して、見ていて心地よい。ただ、懐かしい初恋の思い出にジンとくるのはやっぱり大人で、子供はもうみんな愚図っている。……商業公開する気なら、ほかのエピソード要らないから、これだけブローアップして公開した方がいいよ。
7、「エピローグ」
一番手抜きに見える、マジックか竹ペンで描いたようなラクガキ風アニメ。でもこれも実は手がかかってるんだろうなあ(^_^;)。話は米ちゃんが退社するときにすれ違う人々と挨拶するだけ。
高橋先輩が出て来ないかと思って見てみたけれど、掲示板に「食事」と書かれてただけだった。それでも『エヴァンゲリオン』に続いての出演である。めでたいめでたい。鈴木敏夫さんの後ろにいた人は眼鏡かけてなかったから別人だな。
8、「エンディング」
スポットライトの中、蛍ちゃんが「ギブリーズ!!」と声をあげて終わり。声は篠原ともえだがハスキーなイメージがあったのにかわいい声である。するってえといつものアレは作り声か。
しかし、実験アニメを堂々と劇場公開した勇気は買うが、これで客に見せられるモノになってると思ってるあたりが問題だなあ。
さて、メインの『猫の恩返し』。
原作のキャラと、これまでの東映動画系列のキャラとの間を取ったようなキャラデザイン、さて、どう動かしてくれることかと思っていたが、これがまあ、よく動く動く。日常の微妙な動きも、後半の冒険活劇も、これまでの宮崎・高畑作品で培ってきたノウハウを、若いスタッフたちが着実に身につけていることがわかって、まずはめでたい。
いやもー、私は、冒頭、目覚まし時計を押さえるハルの手の重みの表現を見ただけで感動しちゃったよ。ハルの仕草は、少女マンガのヒロインとしての最も理想的な動きを、リアルに表現したものと言っていいのではないか。『耳をすませば』よりも線に強弱がなくなり、随分整理されているのだけれど、その分、動きに力を入れたって感じだね。実際、その滑らかな動きは、ここのところ宮崎作品に「固さ」を感じていた身にしてみれば実に心地よい。
ストーリーが日常を描く前半と、猫の国での後半とで分裂しているのが欠点とは言えるが、これは原作の罪だから仕方なかろう。アニメとしてのイメージを見せてくれていることで、その程度の瑕瑾は気にならなくなる。
何より嬉しかったのは、この物語が『長靴をはいた猫』の現代版であったことだ。ある意味狂言回し的な役割でしかなかった『長猫』のペロに比べ、本作のバロンは、ハルを救うために走り、飛び、戦う、ピエール以上に活躍するもっともヒーローらしいヒーローである。
いやあ、カッコイイよ、バロン。男爵の高貴さ、というよりもシャーロック・ホームズの凛々しさだね、彼の魅力は。バロンに抱きかかえられて塔の階段を昇っていく最中にハルが「このまま猫になってもいいかも」って思ったの、私、共感しちゃったくらいだから。猫だろうと関係ないね、宮崎版『名探偵ホームズ』のカッコよさがここにはある。
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07月20日(土)
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