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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■芸能界の宿便/『名探偵コナン』38巻(青山剛昌)ほか
 さて、もう毎回ツッコミしてくれと言わんばかりの『コナン』なんだけれど、今巻もどこから突っ込んだらいいものか(^^)。
 でもねー、最近はもう、『コナン』に関しては読んでも感想書かないですましちゃおうか、という気もしてきているんである。いやね、この日記読んでる人で、本気で立腹してるコナンファンがいて、クレームが凄くって……というのはウソで、もう毎回書くことが同じになっちゃってるからなんだよね。一応、ミステリのマナーに則ってトリックを具体的に書かないようにして批評してるんだけど、それだとおおざっぱな感想しか書けないから、変化のつけようがないんだよ。
 概ね「動機が弱い」とか「トリックがちゃっちい」とか「トリックが物理的に不可能」とかで、要するに「幼稚」ってこと。
 そんなに貶すんなら、読まなきゃいいじゃないかと言われそうなんだけれども、「幼稚」ではあっても、「卑怯」じゃないから読むわけですよ。青山さんが新本格などに毒されていない、昔ながらのミステリファンだってのは、巻末の「名探偵図鑑」に取り上げられている探偵たちのほとんどが、1950年代までのミステリ黄金期に発表された作品に登場しているものからチョイスされていることからもわかる。「犯人はあの人だ!」でヒキを行うのも、エラリー・クイーンの「読者への挑戦状」の故智に倣ったものと受け取れる。青山さんのミステリ作家としての創作態度がフェアであることは間違いないのだ。

 問題はねえ、挑戦状を送られたってさあ、「どうせ適当な動機で適当なトリックで適当な犯人なんだろ?」って結末が予測されちゃってマジメに受け取る気になれないってことなんだよねえ。
 えーっと、まんしょんのいっしつから、だいじなだいじなかけじくがなくなりました。それまでそのへやのおばあさんが、おひなさまのひなだんにさわっていました。さて、かけじくはどこにかくされていたでしょう?
 ……このトリックを見抜けない読者がいると思いますか? 私ゃもう、見抜きたくもないです。青山さんが読者を小学生のみに限定しているのならともかく、いくら何でも幼稚過ぎる、という批判が出てもしかたがないよ、これじゃ。だいたい、こんなの、警察がすぐに見つけちゃうからコナンの出番なんてないって。
 周囲の人間をみんなバカにして、一人だけ名探偵に仕立てるなんて、一番安易な方法だ。いっぺん純正なコナンファンに聞いてみたいんだけれども(私の周囲にいるコナンファンはたいていただのアホなんで参考にならん)、ミステリとしてあれを評価してるのかね? まあ『探偵学園Q』よりマシだってことは認めるけどね。

 黒の組織とはまた接点が切れちゃいましたねー、これでもう50巻だって60巻だって行っちゃいそうな気配ですね〜。サンデーの連載の中では最長不等距離を達成しそうですかね。まだ『おそ松くん』は抜いてないと思うよね?(誰に聞いてるんだ)
 ちょっと笑ったのは、雛壇の事件のときに、少年探偵団の連中にコナンが、「どうして大人相手に喋るときだけ声のトーンや口調が幼くなっちゃうんですか?」「不気味だぞおまえ」と突っ込まれているところ。
 作者が意識してるかどうかは知らないが、これ、アニメ版の高山みなみ批判になってるぞ(^_^;)。本人がこのエピソードのアニメ化のときにどう感じるか、聞いてみたいもんだ。

 裏表紙折り返しの名探偵図鑑、もうネタが尽きてきたのか、「黒門町の伝七」。
 いきなり「『よよよい、よよよい、よよよいよい、めでてえな!』と二本締めで事件解決を祝う」とか書いてるけど、それ、テレビだけの設定で原作にはないんだってば。イラストも中村梅之助の似顔絵だし。
 こういういい加減なこと書かれると、青山さんのミステリファンぶりも底が浅いよなあって感じしちゃうよね。まあ、「原作は陣出達朗でなくて捕物作家クラブ」って書いてるところはよく知ってたなあって思ったけど。


 マンガ、青山剛昌原案・平良隆久プロット・阿部ゆたか・丸伝次郎まんが『名探偵コナン特別編』15巻(小学館/てんとう虫コミックス・410円)。
 一応こちらは完全に子供向けだろうから、トリックがチャチでも文句はつけないよ。モノによっては本編より出来いいのもあるし。

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07月18日(木)
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