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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■灰色の巨人/『サトラレ』3巻(佐藤マコト)ほか
 サトラレの息子が同じくサトラレであったら、この二人に自分がサトラレであることを気づかせずに生活させることができるのかどうか。この課題を解決するのに、「父親と息子のそれぞれに代役を立てる」ってのはいくら何でも不可能じゃないか。父親が単身赴任している時ならともかく、「親子で一緒に暮らしたい」と双方が思ったらいったいどうするのだろう。それはそのときになって考えれば、というご意見もあろうが、もう一つ、結局、父親も息子も全くの他人を自分の肉親と信じて一生を過ごさせることに対して、「そこまでしてサトラレに自分がサトラレであることを知らせないこと」の是非は問われないのだろうか、という疑問が湧く。自らの思念が他人に筒抜けであることにサトラレは耐えきれないだろうという判断は妥当だが、彼らを救う方法が真実を遮蔽することに限定されているのはなぜか。そこに設定の無理が生じているのだ。
 それでも佐藤さんはサトラレが直面するであろう様々なケースを作り出していく。
 サトラレを憎むサトラレ研究家、山田教授。
 彼の登場こそが次巻以降の展開への最大の事件だろう。
 彼が企んだ木村浩と白木重文の接触が、山田教授の思惑通り、サトラレ同士傷つけあうことになるのかどうか、もちろんそれを乗り越えていくことを読者は期待しているのだけれど、常識的に考えてもそれは簡単にできることではない。
 佐藤さんがどこまで「がんばれる」か。途中でリタイアしないで描ききってほしいんだけど、こちらも安易なところで妥協されそうなんだよなあ。

07月11日(木)
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