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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■理想の正論より現実の暴論/映画『スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』
 『スターウォーズ』の話に戻って、第四作を『スターウォーズ』のままにしておくと、そのうちこれが第一作で、『エピソード1 ファントム・メナス』(これも『幻影の脅威』じゃどうしてダメだったのか)のことを指すと勘違いする人も出てくると思われるのである。

 タイトルの話ばかりでナカミがないな(^_^;)。
 さて、前作『ファントム・メナス』で、「ホントは『スターウォーズ』シリーズってつまんないんじゃないの?」とすっかり株を下げてしまった感があるが、今回は随分と失地回復を果たしている。
 もっとも、未だにドラマ性よりもイベント性を重視した作りのせいで、監督やスターウォーズフリークはともかくも、一般観客には退屈だろう、と思われるシーンは随所にある。
 ドロイド工場の追っかけシーンなどは最たるもので、どうせ助かるってことが解りきってる上に、たいしたサスペンスもそれを切りぬけるアイデアもなく、ただただ音楽がうるさくカットがチカチカ目に痛いだけだ。なんでもあれももとの脚本にはなく、現場での思いつきで挿入したシーンだそうだが、ルーカスが映画学校でドラマツルギーを何も学んでなかったことがよくわかる。
 アナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラの恋も、冗長さが目立つ。
 恋の過程にメリハリがないことが原因だが、オトナになりきれていないアナキンは直情径行でも構わないのだが、「抑え役」パドメのナタリー・ポートマンがどうにもいけない。議員としてのストイックな面と、恋に落ちて以後の情熱的な面との演技の落差を表現できるほどの力がまだ備わっていない点がネックになっているのだ。脚本の上でも最初からあんなにラブラブじゃ、見ている観客は白けるだけだぞ。障碍があるから恋は燃えるんじゃないのか。
 ジョン・ウィリアムスの音楽もうるさすぎ。しょっちゅうBGM流してないと落ちつかないのは逆に神経症じゃないのか。

 何か思いきり貶してるみたいだけれど、しかしそれだけの欠点を備えていてもなお、本作は『スターウォーズ』シリーズ中、一番面白い。
 何よりそれはドゥークー伯爵役のクリストファー・リーの名演に負うところが大きい。善玉が悪玉を演じるのは難しいが、悪玉は善玉を演じられるだけの技量を持っているものだ。月形龍之介が吉良上野介と水戸黄門の両方を演じられたように、クリストファー・リーはドラキュラ伯爵とシャーロック・ホームズの両方を演じている。
 今回も、共和国に敵対する悪の親玉風に登場していながら、オビワンに「共和国の元老院は暗黒卿に支配されている、正義は我々にあるのだ」と勧誘するあたり、果たして真の悪はどちらか? と迷わせるだけの風格ある演技を見せてくれる。絶対悪はそれだけでカリスマなのだから、絶対善にも見えなければ意味がないのだ。クローン軍の攻撃にも動じないその余裕ある演技は、後のダース・ヴェーダー卿がただのチンピラにしか見えないほどだ。
 オビ・ワンもアナキンもドゥークー伯の前では赤子同然、唯一対抗できるのはヨーダのみだが、いやあ、この二人の念力合戦の楽しさときたら(フォースってやっぱり念力だよな)、まるで往年の時代劇、忍者映画を見るよう。
 自雷也と大蛇丸か、影丸と阿魔野邪鬼か、はたまたバビル2世とヨミか(マジでルーカス、横山光輝を参考にしたんじゃねーか)、走る電撃、崩れる伽藍!
 フォースでの対決は勝負にならぬと、続くはライトセーバーでの肉弾戦、宙を駆けドゥークーの死角を狙うヨーダ! 余裕でかわし、ライトセイバーを振り上げるドゥークー! 実力伯仲のこの均衡を破る最後の手段は何か!?
 ホントにこのままヨーダが大ガマに、ドゥークー伯が巨竜に変身して戦ってくれないかと願ったくらいだよ。
 それにしてもヨーダがここまで活躍するとはねえ。数十年後にポックリ逝くのが信じられないくらいだ。それともこのときの戦いのムリがたたって、あんなんなっちゃったのかもね。
 さて、敵方にどんどんいいキャラが増えてく『スター・ウォーズ』シリーズだけれども、次作ではクローン戦争のきっかけを作ったジャー・ジャー・ピンクスが自分の罪を恥じて自決してくれることを希望(^o^)。コメディーリリーフはC−3POとR2−D2の二人だけで充分だって。

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07月06日(土)
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