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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■金曜で〜とだ。一応/映画『マジェスティック』/『気になるヨメさん』1巻(星里もちる)/『クロノアイズ』6巻(長谷川裕一)
 時間帯が合わずに、しげと一緒に映画に行ける日も減っていたのだが、今日は先々週に引き続いてしげの仕事が休み。こういう機会はもう逃せない、ということで、仕事が終わるなり、粕屋方面に向かう。
 何の映画を見るかは随分迷った。私は『パニック・ルーム』を見てみたかったのだが、しげが怖がってまた私の指だの腕だのをつねったり握りつぶしたりもいだり食ったりしそうなので自ら却下。
 ジム・キャリーはできるだけ新作を追いかけているので、時間が長いし題材的にあまり興味は惹かれなかったが、『マジェスティック』を見ることにする。


 映画までの時間つぶしに、「かに一」でバイキング。
 「昔に比べてすっかり少食になった」とほざくしげ、肉を焼き、メシをくらい、新しいオカズが並ぶたびにおカワリに走る。
 つまりしげの「あまり食べられないからバイキングはイヤ」というのは、「2千ナンボ払ってるんだから、五食分くらい食えて当然や! なのに三食分しか食えんやんけ!」という文句なのである。文句かそれは。
 私がカニの脚の身を剥いて、ツルリと引き出すと、しげ、目を見張って「オレも剥く!」と取り上げようとする。
 「なんだよ、食うのか?」
 「食わんけど剥きたい!」
 しげのカニ嫌いはひとえに「うまく殻が剥けない」という点にある。食欲が常に勝っているヤツなので、エビだのカニだの、食うスピードが減殺されるような甲殻類はしげの天敵なのだ。あるいはしげの前世はプランクトンでカニに食われてたものか。
 周知の如く、カニの剥き方は要領さえわかっていれば至極簡単である。しかもこの店のカニ、殻にもう切れ目が入れてある。関節からもぎって引っこ抜けば、スルリと簡単に身が出るのだ。
 「オマエ、剥き方知らんかったんか?」
 「うん」
 「『ここだけのふたり』で『カニってバカだよね、こんな剥かれやすいカラダして』って書いてあったじゃん」
 「だからやると!」
 むりやりカニを取り上げて、首を捻りながらカニの足も捻るしげ。
 うまく身を引き出せて、ニヤッと笑ってカニの身を返されるが、なんだかねー、エサもらってるみたいで食欲が減殺されるねー。


 まだまだ時間は余っているので、道すがらの本屋回り。
 別府(「べふ」と読む。あの温泉とは別場所)の明林堂で本を物色していたが、ふと、金属製のパズルみたいなのがズラリと置いてあるコーナーがあるのに気づく。こういう「知恵の輪」は昔から大好きだったので、箱の空いたサンプルを一つやってみる。ひねくり回しているうちになんとか外してもとに戻す。
 しげにも「やってみない?」と手渡す。つまんないプライドだけは高くて、ちょっとでも恥をかきそうになことになるとプイと逃げることの多いしげだから、もしかしたら「やらん」と拒絶するんじゃないかなー、と思いきや、意外にもすんなり手に取ってやり始める。
 でもやっぱりしげ、どうしても外すことができない。とうとうあきらめて放り出す。なんかな〜、やっぱりどこか根気が足りないんだよな〜。

 突然「わっ!」と声をかけられたので、ビックリして振り返ると、立っていたのは穂稀嬢。
 「どしたの? こんなとこで」
 「何言ってんすか。ここ、ウチの目の前ですよ」
 そいつは知らなかった。っつーか、穂稀嬢をウチまで車で送ったことも何度かあるのだが、住所をはっきりと認識してなかった。そう言えばこのへんだったよなあ。
 「しげさ〜ん!」
 「ハカセ〜!」
 いきなり抱き合い踊るしげと穂稀嬢。踊るといっても、リズム取りながらお互いのカラダを鏡に映ってるみたいに揺らしてるんだが、アレですよ、志村けんと沢田研次の鏡コントみたいな感じね。……本屋でいったい何やってんだか。
 穂稀嬢、お母さんとふたり連れだったが、御母堂はこういう娘御のほよよんとした態度をどう見ておられるか。話によると穂稀嬢の悪行の数々を全くご存知ないようであるが(^_^;)。いやまあ、別にしげと不行跡があったわけじゃないけどね。
 台本の話などして、辞去。


 粕屋のサティに付いてもまだ時間は余っているので、あちこちの店を冷やかす。

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07月05日(金)
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