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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■能古島紀行/『ワイド版 風雲児たち』1・2巻(みなもと太郎)
 「また?」としげはほとほと呆れた様子だが、私はこれが楽しみで生きてるようなものだから、有無は言わせない。
 「いいじゃん、おまえもやれよ」
 としげにもエサの駕籠を渡す。さっきと同じように代金をハコの中に入れようとしたら、もう財布の中には150円しかない。
 「おまえ、50円出せる?」
 「財布、車の中に忘れて来ちゃったよ」
 「じゃあ、しょうがないなあ。どこかの店で買い物して、お釣りを作ってあとで入れよう」
 二人でエサをやるが、しげが突然「ねえ、オレんとこチーズが入ってないよ!」と言い出す。なるほど、確かにしげの駕籠にはパンの耳は入っていたが、チーズが入って無かった。
 「飼育係りの人が入れ忘れたんだな。じゃあ50円でちょうどよかった」
 ……と言うわけで、能古島関係者の方がこの日記読んでたら、今日この日、50円しか入ってなかったのは詐欺ではありませんので悪しからず。
 「ああ、けれどエサがやれたから、これだけで今日は満足だな」
 しげは私を見て何か言いたそうに口をモゴモゴさせてるが笑ってるのか怒ってるのかはっきりしろい。

 どーぶつにエサをやってばかりもいられない。
 自分たちのエサも確保せねばと、レストランでバーベキュー。
 「能古焼き」とか「玄海焼き」とかなんとか名前はついてるが、つまりは肉と魚介類ごった混ぜの炭火焼である。初め焼けるのに時間が掛かるが、虫が飛んでくるのを気にしなければ、ベランダで風に吹かれ海を見ながら食うムードは気分がいいし、やはりイカや貝が美味い。一応取れたての魚介類って謳ってるから、本当なんだろう。一人アタマ2500円だけれど、損をした気にはならない。
 ちょうどこのベランダが映画『ちんちろまい』にも使われていたところのようだ。ちょっと歩かなきゃならないが、お客さんが来たらここまで案内するのも手かも。

 食事に結構時間を食う。
 バスやフェリーの時間があるので、帰りはやや足早。小雨もやや強くなってきた。本当はこまで来たなら壇一雄の旧宅も見物してみたかったが、しげの気分が悪そうなので中止。
 パークの売店で父の土産にウドンと黒炭石鹸とかいうのを買う。ウドンは能古で作ったという腰のありそうな乾麺である。ウチの分まで買おうかどうしようか迷ったが、しげが「食わん」というので石鹸だけ買う。こちらの方は効用に「毛穴から脂肪を落とす」と書いてあるのにしげは惹かれたらしい。でもなんだかこれって昔「痩せる石鹸」とか言って、中国じゃ二束三文の値段だったのを何千円かで売ってたって詐欺紛いのに似てるような……でもこれは500円くらいだし、まあいいか。
 井上陽水が能古島を歌った歌ってのもCDが売ってあって、結構バカっぽくてちょっとほしかったのだが、何となく「これ以上無駄遣いするな」としげの目が語ってる気がしたので諦める。タイトルは忘れた。気になる人は「井上陽水」「能古島」で検索かけるとヒットするかも。私はめんどいのでやりません(~_~;)。

 バスに乗って、渡船場まで来ると、しげの気分、本気で悪くなっている。
 「バスに酔ったのか?」
 「わからん」
 しげは自分の症状を説明するのがとことんヘタだ。
 気分が悪いのが風邪のせいなのか寝不足のせいなのか食い過ぎのせいなのか、それすら区別がつかない。こちらも対処のしようがないので、ともかく帰ろう、と言うしかない。本当は今日は『スターウォーズ・エピソード2』の先行上映なので、見に行くつもりだったのだが中止。前売券は買っているのでまた来週だな。
 土産がサビシイ気がしたので、能古島で獲れたというアサリを買い、父の店に寄って渡す。自分の土産には桃を買ったのだが、これはイマイチ熟れてなかった。桃の本場はやっぱり岡山なのかな。
 

 社会思想社が負債6億8000万円を抱えて事業停止。
 ……って、現代教養文庫はどうなるんだ。

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06月29日(土)
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