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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■緩やかな統制に異議を/『七人のナナ』&『アベノ橋魔法☆商店街』最終回/『王妃の離婚』(佐藤賢一)
第121回直木賞受賞作なんだけど、確か、受賞はしたものの、評者の誰かが、「これが佐藤賢一の代表作とは言えない」とかなんとか言ってたように思う。それでも受賞できたのは、井上ひさしの強いプッシュがあったおかげらしいんだけれど、あの人、小説を読むのも書くのもヘタだしなあ。
あまり期待しすぎないように、と思って読んだんだけど、なんというか、惜しいね、この作品。
フランス国王ルイ12世は、一介の諸侯に過ぎなかったころ、11世から娘を押しつけられて妻としていた。国王に即位した今、彼は王妃ジャンヌを疎んじて離婚の申し立てをする。原則として離婚が認められないカソリックにおいて、唯一の法の抜け穴は、結婚自体の無効を言い立てることだった。
しかし、「結婚の事実がない」と主張された王妃ジャンヌは、聴衆の前で厳然と異議を唱え、夫に徹底抗戦の構えを示す。だが新国王に阿る裁判官たちは、ひたすら王妃に不利な証拠ばかりをでっち上げた。
かつて11世に追放された恨みを晴らすかのように、その娘が裁かれる様を傍聴に来ていた弁護士フランソワは、裁判のあまりの不正ぶりに憤り、また、王妃の毅然とした態度に惹かれ、弁護を引き受けることになる。
……ネタはすごく面白いんだよねえ。多分ある程度史実には基づいてるんだろうけれど、キャラクターが魅力的だし、敵も味方も権謀術数の限りをつくすあたりはまさしく波瀾万丈、フィクションの面白さに満ちている。、
けど、文章がもう、どうにもいただけない。
一見、この人、文章がうまいように錯覚するんだけれど、それは朗読を意識したと思しい、韻文的な文章によるものである。だからリズムに乗ってスラスラ読めはするんだよね。でもその書かれている内容がひたすらクドくて(-_-;)。
例えば、検察側が王妃に要求した「処女検査」、この説明が延々と続くの。しかも同じ内容の文章が何度も出てくるし。作者、何をそこまでバージンに拘るかって突っ込みたくなるくらいで。
ハッキリ言って、うまい作家なら、この半分の量でもっとキビキビした小説が書けるよ。抑制が効いていない文章はひたすら「ダラしない」だけだ。裁判の結果はだいたい予測がつくので、そこをどう退屈しないように面白く見せるかってのを工夫するのも作家の手腕の見せ所なのだけれど、あっさり終わらせちゃったからねえ。アレじゃ、ヤルことヤッたら、もうそれで裁判はどうでもいいって感じじゃん。これこそ肩透かし。
飛ばし読みすれば、まあまあ面白がれるんじゃないかとは思うけれど、じっくり読むのはオススメしません、ハイ。
06月27日(木)
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