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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■つっよいっぞガ〜メ〜ラ〜/『モーツァルトは子守唄を歌わない』2巻(森雅裕・有栖川るい)ほか
 てっきり飛び起きたのかと思ったのにどうしたんだろうと近寄ってみると。
 「……グー……」
 寝てるし(ーー;)。
 つーか、イビキまで掻いてるし。
 これじゃ、びっくりして気絶するマンガのキャラそのまんまや。
 ……驚いたんなら目ぇくらい覚ませや。 


 マンガ、青山剛昌『名探偵コナン』36巻(小学館・410円)。
 あ〜、いつもいつも穴だらけのミステリ、ありがとうございます。
 ……シナリオライターつけろよ、大概で。
 今でもある程度トリックのブレーンなんかはいるみたいだけど、トリックのためのトリックに堕してるぞ。いくら少年マンガだからって、人間描写ってのは必要だろう。
 いっぺん、『コナン』のどこがどうヒドイか、事細かに全部解説してやりたい気になるんだがなあ。ミステリのルール守ってたらそれもできないしなあ。
 渚のトリックは時間が経てばすぐにバレるものだし、犯人が途中で罪の意識に駆られながらなおかつ連続殺人を試みる心理も理解しがたい。
 物理的にも心理的にも成立しようがないのだ。こんなあんぽんたんなトリックをみんなホントにおもしろがって読んでるのか? ……やっぱ、ただのキャラ人気なんだろうなあ。
 青山さん、絵柄に個性はあるんだけどさあ、肝心のキュラクターの描写力がないんだよねえ。松田陣平? このいかにも松田優作と陣内孝典を足して2で割ったみたいなキャラ出して、恥ずかしくないか。今までにどれだけのマンガ家がそれやってきたと思う? マンガが安っぽくなるだけだよ。


 マンガ、森雅裕原作・有栖川るい作画『モーツァルトは子守唄を歌わない』2巻(エニックス・580円)。
 ああ、『コナン』のあとでこんな上質のミステリを読むと心が洗われるナァ。
 いや、マジでね。
 もっとも、作中の暗号は楽譜にアルファベットを組み合わせたものだったんで、どうやって解いたらいいか見当もつかなかったけど(ーー;)。日本人の読者相手にそりゃちょっとヒキョーってもんだろう。
 モーツァルトと来ればサリエリ、というのはピーター・シェイファーの『アマデウス』以来の定番になっちゃったけど、今巻でもサリエリ、モーツァルトの死の謎を探るベートーヴェンを裏から妨害する。
 黒幕と見せかけて実は、という展開なのかそれともストレートに怪しいのか。こういう時代ミステリは、有名人をキャラとして使える分、無理にキャラを作りこまなくても、「ああ、こいつは怪しいぞ」と勝手に読者が思いこんでくれる利点があるのだけれど、言い返れば、それをどうひっくり返して意表をつくかってのも作者の技量にまかされている。
 しかし、今んとこ、探偵ベートーヴェンに退行できるだけの際立ったキャラってのが登場してきてないんだよなあ。だからと言って、これで「モーツァルトは自殺だった」みたいなオチだったらつまらないんだけど。
 チェルニーもただベートーヴェンに突っ込むだけじゃなくてもう一つ二つは「企んで」ほしいもんである。

02月28日(木)
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