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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■風邪まで引いちゃったよ、どうすりゃいいんだ/『西洋骨董洋菓子店』1〜3巻(よしながふみ)ほか
 マンガ、よしながふみ『西洋骨董洋菓子店』1〜3巻(新書館・各546円)。
 よしひと嬢が熱烈なファンらしく、テレビ化された『Antique』を見て激怒しておられた(^o^)。
 テレビの方は見てないので、批評は控えるが、監督が『踊る大捜査線』や『サトラレ』の本広克行だから、あまり積極的に見る気が起きない。どーせ意味もなくタメて、かえって間延びしたシーンやカットの連続なんじゃねーのか(←偏見)。見てる人がいたら、ご感想を聞かせてほしいものだ。

 けれど、マンガのほうはスゴかった。
 なんかもー、ムズムズするおもしろさとでも言ったらいいだろうか(なんじゃそりゃ)。
 だいたい、よしひと嬢が好きなマンガや小説は、ある種の「偏り」があって、視点そのものはおもしろいのだが、場合によってはこちらが「引く」ことも多々ある(一生懸命遠回しな表現してるなあ)。
 だもんで、第一巻の1ページ目から、学ラン姿の二人が向かいあって、「なんだよ話って」「君の事が好きなんだ」で始まってるのを見た途端、正直な話、私は本を投げ捨てたくなった(^_^;)。

 だから私、ダメなんだってば、ホ○は。
 その方々の権利を侵害する気はないが、やっぱり耳元に吐息をかけてくれるのは女に限るのよ。
 アンタこれで、男同士の濡れ場(死語)が随所で展開されてた日にはよ、多分、夢でもうなされることになってたと思うよ。
 でも、展開が違ってたねえ。
 次のシーンで、「ゲロしそうに気持ちわりーよ!! 早く死ね このホ○!!」だよ。
 そしていきなりシーンが切り替わる。
 「ぶーす!!」
 おそらくさっきとは別のどこかの中学校、制服を着ないで歩いている女生徒がいて、男子から、からかわれている。そして「ぶす」の声につい反応してしまった別の女生徒のモノローグ。
 「なんで中学校ってこんなにびくっとしちゃうんだろう」
 さらにまたシーンが飛んで。
 若い少年ボクサーに、ジムの会長が「やっぱり網膜剥離だったってよ」と告げる。
 「俺やめんのやだよう」と泣く少年。
 またまたシーン変わって、ここからが現在の話(今までのは全て回想シーンだったのである)。
 いかにも堅物そうな父親が、居間でテレビを見ている長男を追い出して、冷蔵庫からおもむろにケーキの箱を取り出す。
 そして、にんまりと笑い、その中からイチゴのショートケーキを、崩さないようにそおっとつまみ出すのだ。

 ……いったい、これらの全く連続していないように見えるシーンに、どのような意味が、繋がりがあるのか。
 ここで、私はこのマンガ家さんの「語り口」に見事にハメられたのだ。
 実際、「繋がり」はあったのである。
 うーん、その辺の紹介については今回はやめとこう。ミステリと同じで、「謎」が解かれる楽しみは未読の人のために取っておくものである。

 でも一つだけ書いとけば、これはもうただのホ○マンガではなかったのだ。
 冒頭に出てきたホ○、ただのホ○ではない。
 「魔性のホ○、恐ろしいホ○伝説のホ○、好みの男はオールゲッチュ、厨房は一瞬にして情事の舞台になるという」究極のホ○だったのである。
 あああ、こんなにホ○ホ○ホ○と書いてしまった(-_-;)。夢に出るぞ夢に出るぞ。
 でも、これは確かに、いい脚本家と演出家に当たれば、上質のシチュエーションコメディとして成立するだろう。
 キャラクターの一人一人の個性がこれだけ綺羅星のごとく輝いていながら、その個性にストーリーが引きずられてもいない。過去の謎が一つ解かれるたびに、また新たな謎も生まれる。現在の時間そのものはただゆったりと流れているだけなのに、ドラマは大きなうねりを見せていく。
 何という構成力の妙であろうか。
 気になることを一つだけ挙げると、絵柄が明智抄さんに似てる気がするんだけど、ただの偶然なのだろうか。それともアシストかなんかやってたのかなあ。

01月23日(水)
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