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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ぬかるみとミッフィと腐れた餃子と/映画『スパイキッズ』/『降魔法輪』(さとうふみや)ほか
 企画自体がバカ映画なんだし、筋立てについてどうこう文句言う作品じゃないってことは重々承知しちゃいるんだけれど、それでもやっぱり、設定が安易だし、詰めが甘いってことは言いたくなっちゃうんだよねえ。
 かつてはスパイであったことを両親が隠している、ってのはもちろん定石なんで文句はない。
 ママが寝物語としてパパとの馴れ初めなんかを話すんだけれど、娘も息子もそんなのママの作り話だろう、と信じようとしない。問題はそこからで、だったらその「昔語」はとことん荒唐無稽でないとギャグとして機能しないんだよ。それこそOO7を凌駕するくらいでないとねえ。
 結婚式の最中に襲われて、二人で崖下にハート型のパラシュートで飛び降りる、程度じゃ「冒険」とは言わないよ。ミサイル基地を一つ大爆発させるくらいのことはしなきゃ。
 それに、「パパとママがもとスパイだなんて信じられない」、なんて話にするんなら、パパがアントニオ・バンデラスでママがカーラ・グギノなんて美男美女じゃまずいだろう。もっとブサイクで情けないキャストにしなきゃ。つーか、コメディアンの方が絶対にハマる。それこそダン・エイクロイドやスティーブ・マーティン、ビル・マーレイとかが演じた方が、ずっとカッコイイぞ。
 マイク・マイヤーズが『オースティン・パワーズ』でそのセンを狙ったんだから、そういう企画も考えられたと思うんだがなあ。
 まあ、それでもその辺はたいした傷じゃないんだけど、ともかく主役の二人の子供が全く冴えないし可愛くないってのが一番の問題かな。ホントに何の個性もないただの子供なんだもの。

 主役陣が軒並みダメダメなんだけれど、困ったことにまるで反作用のように脇役陣が最高にいいんだよねー。
 敵ボスのフループを演じるアラン・カミング、このキャラクターがもう、思いっきりキテて、モロ私の好みである。
 ホントは悪の組織のボスで発明家なんだけど、一応、表の顔はテレビの子供向けファンタジー番組のホストってことになってる。このショー自体がまた、むちゃくちゃサイケでグロなんだよね。なんたって、出てくるキャラが実はみんな悪の組織の改造人間なんだから。まあ、ショッカーがそのまんまテレビショーをやって正体をカモフラージュしてると思ってもらえればいいかな。……って、カモフラージュできるんかい(^_^;)。番組のテーマソングがなんとダニー・エルフマン! 道理で『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』ソックリのスコアだと思った。
 このフループ、世界征服が本職なのに、カモフラージュのはずの自分のショーを面白くすることの方に興味が行っちゃってる本末転倒野郎。「何がボクの番組に足りないの?」なんてオカマっぽく嘆いてるものだから、ナンバー2のミニオン(『ギャラクシー・クエスト』でタコ宇宙人と絡んだトニー・シャルーブ!)はいつもヤキモキ。欲を言えばこのへんの二人のやりとりがもっと漫才チックになってくれた方がよかったかな。
 更に、敵の女スパイに『新スーパーマン』『トゥモロー・ネバー・ダイ』のテリー・ハッチャー。彼女は後半、アッと驚く「変身」を見せてくれる。……美人は何やってもトクだねえ。
 そして黒幕の大富豪、ミスター・リスプにいい加減『T2』のT−2000と言われるのはイヤだろうロバート・パトリック。シワも増えて、苦みばしったイイ中年になったねえ。
 残念ながら、この脇役陣、次回作の『スパイキッズ2』には誰も出演しないらしいんである。代わりにリカルド・モンタルバンが出るらしいけれど、もう『カーンの逆襲」の時ですら顔がシワだらけだったし、悪役としてはちょっと弱くないかなあ。もしかしたらまだムネはモアマッチョなのかもしれないが(^o^)。

 しげ、見終わって「やっぱりバンデラスはラテンでいい」なんて言ってる。
 結構気に入ったみたいだけど、この程度の設定ならあかほりさとるでも書けるぞ。日頃から「中途半端に面白いのは嫌い」とか言ってるくせに、まさしく中途半端な『スパイキッズ』がよくて、どうしてあかほりは許せないのか。
 ちょっと偏ってるぞ、しげ。 


 帰るとしげ、早速、ミッフィ袋を空けようとするが、セロテープが貼ってあって、うまく剥がれない。

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01月01日(火)
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