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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■厳密な計算/『透明な季節』(梶龍雄)/『コータローまかりとおる!L』2巻(蛭田達也)ほか
ポケゴリの死は戦時下においては「不祥事」と見なされ、やがて捜査も打ち切りとなる。しかし、未だに事件に疑問を抱く刑事・時川が高志の身辺に近づいてくる。アオセビも謎の行動を取り始め、高志の疑惑も次第に深まっていく……。
設定は多分に魅力的だ。
戦争が次第に悲惨の度合いを増してきて、学生たちの日常もどんどんときな臭くなっていく描写、しかしその中にあって、年上の未亡人、薫に寄せる少年・高志の思いが行き場を失い、少しずつ壊れていく様は読んでいてやはり切ない。
だからこそ、事件の真相が「犯人の遺書」だけで語られる結末はあまりに安易だし、拍子抜けだ。もう一つくらいどんでん返しを見せてくれないと、ミステリを読みなれた読者は納得してくれないのではないか……と思っていたら、佐野洋以下、受賞の選評もみんな「推理小説的骨格の弱さ」を指摘している。
要するに、他の作品が「カス」なんで受賞したってことなんだね。
で、他にはどんな作品が予選を通過したのかとリストを見てみたら……。
斎藤澪『この子の七つのお祝いに』
岡嶋二人『くたばれ巨像』
井沢元彦『大沢家の崩壊』
各氏の名が(^_^;)。
斎藤さんの横溝正史賞作品、乱歩賞落選作だったんだなあ。この人もこの一作で消えたし、岡嶋さんは二人に分裂するし、井沢さんは言霊使いになるし(^^)、やっぱり受賞する人と落選繰り返す人とじゃ、資質に差があるのかもね。
12月19日(水)
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