ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491661hit]

■そろそろこの日記タイトルにも飽きてきてるんだけど/『社会派くんがゆく!』(唐沢俊一・村崎百郎)ほか
 しかし、ハンドバッグから足が出て来て寝ている女の子を蹴り殺すシーンの恐くないことったら。
 ……いや、子供のころにこれを読んでたら、やっぱり怖がったかなあ、とも思うんである。現実にありえないことが身の回りで起こるってことは、オトナにとってはバカバカしくても、子供にとってとてつもなく「怖いこと」に違いないからだ。
 好美さんの視点、やっぱり小さな女の子に絞られてたのかなあ、とも思う。

 と思ったら、巻末の『変身妖怪七変化』、SFヒーローものだよ。
 絵柄が今度は一峰大二風になってるよ。確かにSFヒーローものの代表作家と言えば一峰さんなんだけどさあ。
 多分、好美さんにしてみれば、あれだけ多作してるんだから、いろんなマンガ家さんのスタイルを取り入れたいと思ったのかも知れない。「よし、今度はSFヒーローものでいこう!」。けれど、出版社の関係から、「少女もの」「怪奇もの」というワク自体は外せない。
 そこで、少女ヒロインが、「変身ヒーロー(♂)」に変身し、更に「妖怪」に変身して、世界各国から送られてくる「超獣妖怪」(このネーミングからすると、『ウルトラマンA』以降のマンガかな?)と戦うというトンデモナイ設定を考えだしちゃったのだ。なんで「妖怪」が「セブンマン」なんて名前してるんだよ。全部ごった煮にすればいいってもんでもないだろう(^_^;)。
 ……この節操のなさって、初期のつげ義春によく似てるよなあ。というか、それが昔の貸し本マンガの流れを汲むヒトたちのエネルギーでもあったのだ。
 たとえば、あれだけ独自の絵柄を築いている水木しげるが、その初期においてアメコミヒーローものの絵柄を駆使してマンガを描いていたことなど、今や誰が知るだろう。
 多分、好美さんにはほかにも「水木しげる風」「さいとう・たかを風」「手塚治虫風」といった作品が数あるに違いない。「赤塚不二夫風」や「藤子不二雄風」はちょっと想像がつかないが(^^)。
 そういうマンガも、唐沢さんやソルボンヌさんにもっと紹介していってもらいたいんだけど、引き受ける出版社がどれだけいるかなあ。
 

 マンガ、好美のぼる『UAライブラリー8 うわっその子きれい殺す』(日本貸本漫画保存会・送料コミ810円)。
 唐沢俊一解説、ソルボンヌK子&エロ上(誰?)ツッコミによる同人誌。纏め買いして、一冊の値段が分らないので、送料コミの値段を書いておきました。
 値段や出版社名を明記してるのは、単に記録上のことを考えたてるだけなんで、現物をご注文されたい方は、ソルボンヌK子さんの宛先を自分でネット上で探してください。

 タイトルは収録作品中に登場する既知外の女の子のセリフから取ったもので、実際には『魅せられた乙女』『幸うすき星』『テレビスター』の三本が再録。
 デビュー当時は、好美さんが怪奇マンガ家としてではなく、ごく普通の(当時としては)少女マンガ家として出発したことがわかる。
 初期の少女マンガは詳しく読んでないんでよくわからんのだが、絵柄的には矢代まさこに似ているような気がする(ソルボンヌさんは「わたなべまさこ入ってます」と指摘)。このへん、昔の女の人で(失礼)、少女マンガに詳しいヒト、よかったら教えてくれませんか(ってそんなヒト全国にどれだけいるんだ)。
 あ、表紙絵は明らかに中原惇一のパクリだね(^^)。

 しかし、昭和40年でもこの絵柄は既に古くないか。
 多分作者は「絵の古さ」なんてことは当時微塵も考えていなかったのだろう。ともかく好きなマンガを真似する。それが読者へのサービスになる。そう信じていて、パクリじゃないかとかそんなことはアタマのすみにカケラもなかったのだろう。マネされたオリジナルを越えた低俗パワーみたいなものを生み出しているのだから、簡単に「パクリだ」なんてことは言えないのである。

[5]続きを読む

11月26日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る