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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■泣くなしげっちゅ/『眠狂四郎』1巻(柴田錬三郎・柳川喜弘)ほか
原作を読んでいる人にはご承知の通り、この作品の要は、何かとうまいこと言って狂四郎を乗せて操ってしまう武部仙十郎にあるので、こいつがただのヒネタ爺さん程度のキャラにしか描かれてないのはちょっと残念。映画シリーズはたいていこの武部の爺さんがすっ飛ばされてることが多いので(それに近い役を『眠狂四郎勝負』では加藤嘉が演じてはいたが)、実は極めつけといわれる市川雷蔵の狂四郎シリーズ、私はそれほど高く評価してはいないのである。
それに比べると、まだこの爺さんが出てる分だけ、マンガ版の狂四郎シリーズはちょっと期待したい。でも、全シリーズマンガ化はムズカシイだろうなあ。第一シリーズの『無頼控』をマンガにするだけで2、30巻はかかるだろうし。
マンガ、雷句誠『金色のガッシュ』3巻(小学館・410円)。
シリアスとギャグの混ぜ合わせがなかなか楽しくなってきたが、なんかギャグのヘタレ具合がなんとも気に入ってしまっている。
魔物たちがどうして日本にばかり現れるか、「一番勝てそうなやつと最初に戦いたい」という設定は意外と整合性があってウマイ。これなら、敵の魔物が弱くても不自然じゃないし。
……いやね、実際、「なんでこんな弱い敵ばかり」って思うくらい、ヘタレたヤツが次々挑戦してきやがるのよ、これが。中でも、変身能力しかないペリカンみたいな魔物キャンチョメと、ナルシストのイタリア俳優、フォルゴレのコンビは最高だ。「(自分が)弱くなる呪文」を駆使するあたり、もー、オイちゃん情けなくて涙が出るよ(T∇T)。
こういうコメディリリーフは簡単に殺しちゃいけないのは鉄則。ちゃんと生き残った以上は、クライマックスでの再登場を期待したい。
マンガ、石ノ森章太郎『気ンなるやつら』(双葉文庫・600円)。
今はなき雑誌『平凡』に、1965年から1968年まで連載された、短目のラブコメディー。
六ベエとマリッペ(この「ペ」って愛称が時代ですな)のケンカしたり照れたりの他愛ない恋愛模様を描いた作品なんだけど、こんな作品にまで随所に石ノ森さんが「実験」を試みてることに驚く。
サイレントかつ縦長俯瞰のコマだけで構成した『雨の中のふたり』など、もとネタが『シェルブールの雨傘』だってことはすぐ分るけど、その換骨奪胎の技が絶妙にウマイ。
『スペース・オペラ!?』の巻なんか、ハッキリ『サイボーグ009/超銀河伝説』の基本プロットになってるもんなあ。
毎回ヒロインのマリッペが、表紙絵でお色直ししてくれてるのも嬉しいのであった。
10月20日(土)
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