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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■声だけ美少女/『スタジアム 虹の事件簿』(青井夏海)ほか
 来週が最終回なんで、「泣き」の芝居で落とすつもりなのかなあ、でもそれじゃあグゥの出番も少なくなるばかりで、どんどんつまんなくなっちゃうぞ、と心配してたんだが。
 予告編を見てぶっ飛んだ。
 『ニュータイプ』の予告じゃ、最終話のサブタイトル、『おかえり』になってるんだよね。なのに実際に出たタイトルは『おしまい・おしまい』。
 しかも都会からジャングルに帰る話じゃなくて、あの原作者のオタク度爆発の「巨大ロボット」もの(笑)。
 「いろいろあったよなあ、ハレが×××したり」
 「……大冒険!?」
 何のことか解らんだろうが、それは来週のお楽しみというヤツである。
 いや、これで落とすかよ横手美智子(笑)。根性あるぞ水島努。
 DVDを予約したのは間違いではなかった。さあ、来週の『ハレグゥ』は必見だぞ、全国のオタク諸君!


 青井夏海『スタジアム 虹の事件簿』(創元推理文庫・650円)。
 これがデビュー作の青井夏海、どういう人だかよく解らない。別にどういう人でもないのかもしれないが、なんとこの作品、自費出版されたものの文庫化である。
 つまり、賞をとったとか、そういう肩書き付きでデビューしたわけではなく、「こんな面白いミステリがある」とネットなどを通じて口コミであちこちに伝わって、ついに創元の戸川安宣編集長の目に留まったというわけだ。
 帯には新保博久キョージュの推薦文でこう書いてある。
 「本書を次のような方にお薦めします。
 北村薫『空飛ぶ馬』
 天藤真『鈍い球音』
 都筑道夫『退職刑事』シリーズ
 泡坂妻夫『奇術探偵曾我佳城全集』
 が好きでたまらない人に。」
 こりゃ、随分ぶち上げたもんだなあ、と思って、ノボリを高く上げすぎるってのもかえって期待倒れに終わってマズイんじゃないかと思っていたのだが。
 いや、確かに、これは上質のミステリだ。一読して「女性版泡坂妻夫」の惹句が思い浮かんだくらいで、ミステリの仕掛けどころをよく知っている。
 探偵役は、パ・リーグ(パラダイス・リーグなんだって)の万年最下位チーム、東海レインボーズの新オーナーにおさまった、岡田斗司夫さん以上の野球オンチ(笑)虹森多佳子。
 「ストライクゾーン? それはどこに付いているのですか?」
 「べつに印は付いていません」
 「まあ、そうですの。わたくし、サッカーのゴールのように、何か目印が立ててあるのかと思いました」
 どこに立てるんだよ。ピッチャーとキャッチャーの間にワクでも立てとくんかい(^_^;)。
 ところが、この「野球オンチ」ゆえに、彼女はスタジアムで起こった事件を次々と解決していけるのだ。
 ミステリーでは、謎を解くきっかけが、その事件とは全く関係のないことからの連想によって与えられる、という描写がよくある。
 例えば、映画『犬神家の一族』で、石坂浩二の金田一耕助が、鏡の前に映ったミカンを見て、あのトリックに気がつくといったような例だ(実はそんな描写は原作にはない)。
 この方法、探偵が綿密なデータからではなく、ただの偶然に頼って謎を解くため、一般的には安易な解決法と取られがちなのだが、「読者に与えられるヒント」として機能している場合には全く問題がない。私たちがそのアナロジーに気づくかどうかが作者の仕掛けたトラップだからである。
 この手法を多用したのが泡坂妻夫だったわけだが、このタイミングの取り方が作者の青井さん、実にうまい。
 私も話テンポが小気味よく進んでいくので、この「ヒント」をつい見逃してしまうこともしばしばだった。
 なんたって、多佳子さんが「あのう……」といい出したときにはもう、「犯人、解っちゃて」いるんだからなあ。……『ケイゾク』かい(^^*) 。
 難を言えば、後半の話に行けば行くほど、多佳子さんの影が薄くなっていくことなのだが、作品と使用トリックの性格上、それはしかたがあるまい。
 どっちにしろ、これは久々のヒットだ。
 ……こうたろうくん、ようやく久しぶりに、お薦めできるミステリを見つけたよ。


 マンガ、青山剛昌『名探偵コナン』34巻(小学館・410円)。

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09月18日(火)
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