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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■裸という名の虚構/『アイドルが脱いだ理由(わけ)』(宝泉薫)ほか
 ウソップが「さっぱり意味がわかんねェぞ、どういうことだ!!!」。
 実際、全く解らない(笑) 。
 わかんないものだから、その間にウソップとチョッパー、メタクソにやられる。
 で、ホントにNO,4、「4番バッターで犬と一緒」だったんだものなあ(笑)。こういうシビアな対決をギャグでつないで緩急のリズムを作り出す腕は尾田さん、実にうまいのだ。
 ミス・メリークリスマスが「モグラ人間」に変身した途端、「ペンギン?」って突っ込まれるギャグは絵が下手なせいでイマイチ効果がなかったけど。ちゃんとモグラに見えてしまう絵を描いちゃいかんねえ。ペンギンに見間違えられるんだったら、ちゃんと色を黒く塗って、もっと下半身デブにしなきゃ。
 「5トン」のギャグはギリギリセーフかな。
 ウソップの持ってるハンマーがハリボテなのは、読者にはもうミエミエだから、それを誰にボケさせるか、ってとこでチョッパーを相棒に選んでるのはなんとか納得できるし(でもこれは本来、ルフィの役柄なんだよな)。
 最後、それまでのギャグで誤魔化してた対決が、二人の底力で勝利する展開、結構うまくまとめられている。
 これで『アラバスタ編』最大の山場は最初に終わっちゃったので(笑)、あとはさっさとゾロもサンジもルフィもズタボロになりながら復活して敵を倒す拡大再生産パターンをさっさと終わらせて、いい加減で音楽家を出して海賊ものに戻れ。シャンクスも出せよ。

 ……それにしても、一番気になるのは、作者が主役のルフィを扱いかねてるのが目に見えてわかっちゃうところだ。
 ラスボスを最初に倒しちゃうわけにはいかないのはわかるが、クロコダイルから「てめェの様な口先だけのルーキーなんざ、いくらでもいるぜ…!?」って言われてるけど、その通りだぞ。
 ルフィ、今までもそうだったけれど、肝心なところで役立たずだったこと多いのだ。こういう能天気なヤツを勝たせるには、「能天気だからこそ強い」という発想で描いてくしかないんで、作者によっぽど強引な力技を仕掛ける技量がないと続かないんだよなあ。
 それができないと、結局、敵のほうの「強さランク」を落として、「実はただのバカだった」ってことであっさり倒させるしかなくなる。「なんだよこの敵、初め出て来たときにはいかにも強そうだったのに、戦ってみると意外と弱いじゃん」って印象になっちゃうのはそのせい。『ドラゴンボール』も『るろうに剣心』も、それで失敗している。
 ……クロコダイルもいかにもそうなりそうなんだよね。ゴタクばっかり言ってるし、今巻でミス・オールサンデーのほうが実は黒幕だったっぽい伏線が張られ出したのも、明らかに次へのつなぎ。
 だから伏線ってのは、「先を読ませない」のが主眼にないと失敗するんだってば。これで結局、「ルフィたちは最後には勝つ。敵の中でミス・オールサンデーだけは今の話が終わっても再登場する」ってわかっちゃったじゃないか(もともとルフィたちが負けるわけないじゃんか、って突っ込みは的外れ。これは作劇における演出の問題を言ってるの)。
 作劇の欠点を若さと勢いでカバーできるのはせいぜいデビュー後4〜5年だ。この辺で連載終わらせないと、ホントに尾田さん、潰れちゃうぞ。

 ジャンプの「人気があるうちはいやでも続けさせ、なくなったら即打ちきり」っていう「作家使い捨て」体質を変えるためにね、「どんなに人気があっても20巻で完結」って制度にしたらどうかなと思ってるんだけどね。
 今日の読売新聞の夕刊を読んでたら、「囲碁」のページで『ヒカルの碁』のことが紹介されていて、集英社は「人気がある限り連載を続ける」と発言してるとか。
 「勇退」ってコトバ、誰か集英社に教えてやってくれ。


 宝泉薫編著『別冊宝島Real021 アイドルが脱いだ理由(わけ)』(宝島社・1200円)。
 私がこの本を読んでるのを、しげが見て、その目が無言で「私というものがありながら、なんでそんなの買ったの!?」と語っていたが、もちろん、これは「マジメな」研究本であって、ヌード写真なんて、引用のための小さなモノクロ写真が点在してるだけだ。変な疑い持つなよ。


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09月06日(木)
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