ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491730hit]
■おたくはセールス電話、おおくありませんか?/DVD『スペースカウボーイ 特別編』ほか
確か「地球の危機をなぜ爺さんに託さにゃならんか」と、その設定のムリっぽさにケチつけてたヒョーロンカがいたが、こういうのが典型的なバカなの。
だからもともとそのムリを見せるための映画なんだってば。
みんな気がついてないみたいだけど、基本的にこれ、純然たるコメディーなんだよ。それに気づかずに上記のような批判してたヤツは、例えば『ゴーストバスターズ』見て、「幽霊なんてこの世にいるものか」と批判するのと同じくらい、バカだってことだな。
勘違いしやすいのは役者がイーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナーと芸達者を揃えているせいなのだろうな。誰一人としてコメディー俳優がいないのだもの。
だけど、ちゃんとコメディー演技してるんだよ、みんな。
あの、冒頭からちゃんとコメディーしてることに気がつかない?
1958年、空軍のパイロットでケンカばかりしているフランクとホーク。
人類初の宇宙パイロットになれるかとNASAの発足式の壇上に登るが、上司の「ご紹介しましょう、記念すべき栄光の宇宙パイロットです!」の声とともに、フランクとホークの“後ろ”から現れたのは、メスのチンパンジー!
いや、確かにこれ史実だけどさ、別にホントに「なんでサルを宇宙に送るんだ」って怒ったパイロットはいなかったと思うぞ(^.^;)。
で、この二人、「おまえのせいで宇宙に行けなかったんだ!」と、その後“40年も”、ケンカし続けているのである。
バカだね〜。
この二人と残り二人を含めたチームの名前が「ダイダロス」ってのも人を食ったギャグ。これ、太陽まで飛ぼうとして“墜落”したイカロスの父っつぁまだがね。イカロスは落ちたが、ダイダロスは逃げ出したのである。
『マクロス』の「ダイダロス・アタック」の語源も当然これですわな。何だかこういう言わずもがなのこともつい書いちゃうのも、非オタクの人がこのページを覗いた時のためのフォローであるので、うるさいウンチクだなんて思わないでね。
で、老朽化したロシアの通信衛星を修理するために(あまりに旧式なので、修理のノウハウを知ってるのが「ダイダロスチーム」しかいなかったのだ。わあ、ウソっぽい設定♪)、フランクは「今度こそ宇宙に行こう!」とホークを誘うのだが、意地っ張りのホーク、「だれが今更!」とケンもホロロ。
諦めて残りの二人のところにやってきて、フランク、「ホークのクソ野郎のことは諦めろ」と報告したその後ろから「だれがクソだって? このジジイが」とホーク。
……どこまで行ってもギャグじゃないの。実際、ギャグの数でその映画をコメディーかそうでないかを見分けるとしたら、この映画、オチに至るまで全編ギャグなのである。ああ、この映画を公開当時、イーストウッドのプライベートフィルムみたいなものかと勘違いして見に行かなかった自分自身の若さゆえの過ち(もちろんダイダロスチームに比べりゃ中年の私だって若手だ)、本気で悔しいぞ。
特に見せ場となるのは、ラスト近くの危機一髪のあたりではなく、爺さんたちがスペースシャトルに乗りこむために訓練に臨むところ。ここが最もギャグの数が多い。
マラソンして3キロ走っただけでバテて「ダメだ、もう走れん!」と言ってたのに、「あ、きれいなネーちゃん」のヒトコトで「何っ!」と走り出すジェリー。うわあ、マンガのような定番ギャグ。でも、これを演じるのがあの『マッシュ』の、『針の眼』の、『SFボディスナッチャー』(笑)の、サザーランドなのよ。みんな70歳になろうかってトシなのにこいつだけ今でも現役ビンビンという設定なのだ。上原謙かい。
フランクとホークがGショック体感装置に乗った途端、遠心力で顔のシワが伸びて若返るというギャグなんか大爆笑。これ、『スパイ・ライク・アス』でも似たようなギャグやってたけど、わざとらしくない分、『スペースカウボーイ』のほうに軍配を挙げよう。
ギャグを挙げ続けてたらキリがないのでこの辺で。少しはこの映画が「コメディー」であること、ご納得頂けただろうか。
[5]続きを読む
08月31日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る