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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■腹立ち日記/映画『お笑い三人組』ほか
孤児の男の子を大富豪の子どもと勘違いして引き取って育てる三人組、この「子供と絡めて映画化」ってのは喜劇の映画化の定番。代表作はチャップリンの『キッド』だけれど、日本も『突貫小僧』以来の長い伝統がある。でも松竹が子供を使っても『長屋紳士録』みたいに人情ものに流れやすいのに対して、この『お笑い三人組』、日活って土壌も幸いしてか、結構ドライな仕上がりになっているのだ(『国士無双』、『赤西蠣太』から『幕末太陽伝』に至る流れを見よ)。
男の子のイタズラにさんざん悩まされる三人、実はただの孤児だと知って、褒美がもう期待できないと落胆して、この子を捨てに行っちゃうのだが(非道だが、当時の庶民感情なら、まあ納得)、そのとき子どものほうから「しかたないよ、ドライに行こうぜ」とたしなめられてしまう。
更にドンデン返しが起こって、やっぱり男の子は富豪の孫だったということが判明するのだが、それが新聞に載った途端、「私がその子の母親」と名乗る女性が、大挙して押し寄せてくる。この辺、キートンの『セブン・チャンス』の変形であり、松竹の三益愛子の「母もの」に対する痛烈な皮肉にもなっている。
いやはや、意外と喜劇史的に侮れない造りになっているのには驚いた。もともと、この手のテレビの映画化ってのは、テレビの短い時間に制約されて十分にその芸をみせられない芸人たちに披露の場を与えるって側面があって、そういう場面は確かにあるのだけれど、「それだけじゃ済まさないぞ」という脚本・監督の意志が見られるのである。意外とこれは拾いものであった。
ゲストのチンピラ役で、小沢昭一・柳沢真一・西村晃の三人がワンシーンだけの友情出演。西村晃が昔はよくコメディーやってたこと知ってる人も少なくなったろうなあ。
同じくチャンネルNECOで『スレイヤーズぐれえと/スレイヤーズごうじゃす』。以前、映画で見てるのだが、こうしてテレビにかかってるとつい見ちゃうね。どうもマヌケな映画にゃ目がない。
この『スレイヤーズすぺしゃる』シリーズ、たいていなにかの併映として作られてるために1時間ちょっとの時間枠、なのに、ギャグの数が目一杯というのが嬉しいのである。『ミンキーモモ』だけでしか評価されてない感のあるわたなべひろし監督、もう一つの代表作と言っていいのじゃなかろうか。
ファンシーなゴーレム造りの道を極めようとするオヤジとか、小遣い値上げを拒否された腹いせにドラゴン軍団を率いて戦争おっぱじめる小娘とか、「世界はバカで満ちている」という世界観が素敵なのだ。
08月29日(水)
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