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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■何年ぶりかの酒の味/『水木しげる貸本漫画傑作選 悪魔くん』上下巻
よく読むと、悪魔くんがホンモノの悪魔を呼び出してまでして、この世に築き上げようとした万人が兄弟となる平和な王国ってのがどんなんだか、よく分らないんだよね。リメイク版ではそれが「子供による統治」と具体的に描かれることになるのだけれど、さて、貸本版を描いていた時点で、水木しげるがそんなことを考えていたかどうか、どうも疑わしい。
悪魔くんの12使徒も、後に描かれたものと当初の構想とは大きく違っていたのではないか。貸本版が途中で打ち切られたものだとしても、既に「梟女」などは登場していなければいけないはずなのに、影も形もないからである。
私自身は、水木さんが当初考えていた「地上の天国」は、『原始さん』で表されたような「文化のない世界」だったんじゃないか、なんて適当に考えているのだが、もちろん根拠はない。
ヤモリビトがいみじくも喝破したように、「悪魔くん」は「悪魔」以上の「悪魔」なのだ。自分の使徒を作るためなら殺人も厭わない超神童なのだ。人間のくせにエリートだとか、金持ちだとか、どうでもいいことに拘っているやつに対しては容赦しない子供なのだ。
「悪魔」は極めて原初的な存在である。全てを「原始」に帰す。そこからもう一度、人間の歴史をやりなおす。それが水木さんの考える「楽園」だったのではないかという気がしてならない。
……って、それ『エヴァ』じゃん(^^*) 。
07月17日(火)
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