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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■愛のバカクサ物語/『フロン』(岡田斗司夫)/DVD『ウルトラQ』1巻ほか
かと言って、岡田さんが読者の女性を「本気で」馬鹿にしているわけじゃない。岡田さんの発想は、「教師」なのである。もっと簡単に言えば「啓蒙家」。
「世の中の人は、こうすれば物事がうまくいくのにどうしてこうしないのかなあ」と気付いたら、それを「教えて」あげなければ気がすまない。ともすればその言質は「こんなことも知らないの?」的優等生の発言になってしまって、説教めいてしまうものなので、劣等生が読んだらムッとくるところも多いのだけれど、「馬鹿にされた」と思うのは劣等生の被害妄想。
優等生ってのは別に劣等生を「フフン」と鼻で笑ったりはしてないんだよね。ホントに単純に、「どうしてこんなこともわかんないの?」と思うだけ。
でもそう言う誤解を招かないように、「一緒に考えましょう」的な論理展開をするのが「教師」の方法。
「私が考えた理論」ってのならイヤミに取られるけど「結婚には法則がある」と言えばそれは自分の埒外のところにあることになるので、読者も拒否反応が少なくなる。これも「教師」の方法。
さすが『ぼくたちの洗脳社会』の著者である。
この辺の商売感覚は本を売る上では、あって当然のものだ。別に悪いことじゃない。
もともと結婚の絶対法則なんて、「法的に結婚している」事実があるだけで他に法則があるわけもない。歴史的、世界的に形態は異なれども、男と女を結びつけるシステムを社会は常に必要とし続けてきたのだ。簡単に言ってしまえばそこには「男女がくっつく」結果がありさえすればいいので、愛だの義務だのそんなのはあとづけの理論でしかないのだ。だから「結婚」という形態だってホントはいらないんだよね。
にもかかわらず我々が往々にしてその「愛」が先にあってその成果として「結婚」があるように錯覚してしまうのは、そうじゃないとなんで二人がくっついているかうまく説明できなくて自信がなくなっちゃうからなんだろう。
あるいは「打算」と「悪意」と「妥協」と「世間体」で結婚していると自覚したくないからかも?
打算のなにが悪い。
打算のない人生があるとでもいうのか偽善者め。
現実逃避してるくせに現実の苦労を愚痴るな、馬鹿。
家庭の問題の大半は、「他の家庭」と比較して身の不幸を感じてしまうことから生じている。
私も今までに別れたカップルってのをいくつも見てきてるけど、たいてい別れる前に私に言うんだわ。「有久さんとこがうらやましい、夫婦仲良くて」って。
もう、オタク道ひた走りの私と、家事も何もしないヒステリー女のしげを見て、そんなタメイキが出るくらいだから、これはもう最悪だ。
他人の家庭は比較するものではなくて観察して楽しむものだ。
ましてや「サザエさん」みたいな家庭とか「しんちゃん」みたいな家族が理想、なんて語るやつは逆さ吊りにしてサンドバッグ代わりにぶっ叩きたくなるな。
岡田さんもチクリチクリとは皮肉を言ってるんだよね。
現代社会は「自分の気持ち至上主義」であるって。
でもそれって「ワガママ女に『お前はワガママだ』って言っても聞く耳持たないのは解り切ってるから言葉を変えた」ってだけのことだ。
リストラした夫に金を要求することを許すほど、女のワガママを認めてるわけじゃない。
ともかく、変えていかなきゃ困るめんどくさい社会システムはゴマンとある。
この本は、「結婚してない男女、浮気している夫婦、離婚した夫婦、子供のいない家庭は精神的に何かが欠落している」という偏見というか幻想を吹き飛ばすための岡田さんの、「オタク認知洗脳運動」に続く第2の戦略なのである。
ま、確かにこういう戦略中に『クレヨンしんちゃん』を誉めきれない岡田さんの立場もわかるわなあ。
でも、あれも「家族」の一形態にすぎんので、それはそれとして考えてりゃいいとも思うけど。どうもあれをただのエンタテインメントとして思いきれないものがみんなの心の中にあるのだよなあ。
仕事を半ドンで切り上げて、天神を回り、ベスト電機と福家書店に寄る。
今月から来月にかけてほしいDVDや本が目白押しなので絞るのに苦労をする。見たり読んだりする時間だってそうそう捻出できんのに。
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06月23日(土)
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