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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■特に悲しくはない死/『轟轟戦隊ボウケンジャー』最終回/マンガ『観用少女 ―明珠―』(川原由美子)ほか
 佐藤忠男は一番熱く『フラガール』を賞賛しており、李相日監督の『青 〜chong〜』と合わせて、「非常に正統的な作り方」「起承転結のしっかりした、折り目正しい、かつての撮影所システムの秀作のような作風」とえらい持ち上げようである。しかしこの批評は同時に「昔はこの程度の映画はいくらでも作られていた」ということをはっきり指摘してしまっている。秀作ではあっても傑作とはいえない、そんな映画を、あえてベスト2に選んでしまっているというのは、結局は古きよき日本映画の黄金時代への郷愁、つまりは感傷的な気分に浸らされているだけのことではないのか。
 高橋聰は「映画的カタルシスは圧巻」と言う。カタルシスとは、いったん主人公たちが落ち込んだ逆境が大きければ大きいほど、それを跳ね除けたときに得られるものである。あの程度の逆境のレベルで「圧巻」と言えるのなら、日本人の大半は大苦労人ばかりである。実際、『フラガール』の何がイライラするかと言うと、「その程度の逆境で泣いたり悔しがったりするなよ、みっともない」という点なのだ。『フラガール』を評価した人たちはよっぽど苦労知らずの人生を送ってきたらしい。
 土屋好生は「日本映画再興の象徴」「笑いあり涙あり、そして怒りあり哀しみあり。映画に必要な全てがそろっている」と言う。映画に必要なものはそういうものか? それに笑いや涙はまだ分かるとしても「怒り」を観客は何に対して感じるのか。娘に暴力を振るう父親に対してか。定型文で何も評していないに等しい駄文である。

 『フラガール』を2位にまで入れた選者に拡大しても60人中8名で、しかもそのコメントは批評家としての資質を疑いたくなるようなあやふやなものが多い。『ゆれる』は2位にまで投票した選者を含めれば15人にまで増える。実質的な昨年の日本映画ベストワンは『ゆれる』であったと考えた方が妥当だろう。
 『フラガール』は米アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作に選ばれ、あっさり落選してしまったが、もしもこれが『ゆれる』の方であったなら……と、考えてはいけない「IF」を夢想してしまいたくなるのである。

 こういう不正確な順位が生じてしまうのであるから、もっとそれぞれの順位の得点に幅を持たせたらどうだろうか。例えば次のようにするのである。
 1位46点 2位37点 3位29点 4位22点 5位16点 6位11点 7位7点 8位4点 9位2点 10位1点
 これで計算すれば、『ゆれる』は『フラガール』を楽々抜いて1位に躍り出る。それでも不満が生じないわけではないのだが、現行の得点制度よりははるかに妥当な結果が出ることになるだろうと思う。


 『轟轟戦隊ボウケンジャー』第49回「Last Task 果て無き冒険魂」
 (脚本 會川昇/監督 諸田敏)
> 最終決戦を前に、全ての冒険者が揃う! 6人はそれぞれのプレシャス、それぞれの冒険を胸に、決戦の地へ向かった。
>世界のあらゆる災厄の塊である絶望=デスペラート。さらには、プレシャスを取り込む能力を手に入れた大神官ガジャ(大高洋夫)、いや、ゴードムの心臓を取り込み究極進化したガジャドム。最強最大の敵を相手に、彼らはいかに戦うのか?

 という最終回。一年間楽しませていただきました♪ 当初の全50話の予定が1話減ってるけれど、別に人気がなかったわけではなかろう。風のシズカ(山崎真美)もいたし(笑)。
 あー、ミスター・ボイスの正体、こいつだったか。って、誰も正体なんか詮索してなかったと思うぞ。あまり意味がない意外な結末(笑)。
 一番ショックな展開は、ボウケンピンク(末永遥)に牧野センセイ(斉木しげる)がヘンソウしていたことか。体型、完全に変化させてたけど、おまいはポルターガイストかっ(by『鉄面探偵ゲン』。義手義足で身長を変化させられる怪盗)。これもサージェス財団の技術力なんですかね(苦笑)。

 細かいことにツッコミ入れちゃうと、今回のシリーズ、テキ役が増えてプレシャスの争奪戦という「タイムボカン複数化」みたいな展開だったので、「悪と戦う」イメージは希薄になってたんだよね。テキ役、みんな愛敬あるやつばっかりだし。

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02月11日(日)
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