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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■人の心が芽生える時/映画『007 カジノ・ロワイヤル』(
しげ。がやろうとしていたことは、批評とはほど遠い、ただのこきおろしである。人との交わりを疎かにしている人間に、何の批評ができるものか。
どやしつけたらどやしつけたで、今度は「じゃあ、これからもう一切映画の感想とかも書かん」と言うのである。それも全くの勘違いだ。私はしげ。に批評を書くなと言っているわけではない。何かを批評するためには、先に人として守らなければならないことがあると言っているのだが、いつまで経ってもこいつにはそういう人を思いやる心が芽生えない。
私はもう、諦めた方がいいかという気持ちになりつつあるのである。
父と待ち合わせをして、キャナルシティで映画『OO7 カジノ・ロワイヤル』を見る。
『007 カジノ・ロワイヤル』(CASINO ROYALE/2006/アメリカ・イギリス・チェコ・ドイツ映画 144分)
原作:イアン・フレミング 監督:マーティン・キャンベル
出演:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュディ・デンチ、ジャンカルロ・ジャンニーニ ほか
字幕翻訳:戸田奈津子
主題歌:クリス・コーネル 「ユー・ノー・マイ・ネイム」(ユニバーサルミュージック)
【解説】
> 過去4作にわたってジェームズ・ボンドを演じてきたピアース・ブロスナンに代わり、新たに抜擢されたダニエル・クレイグ扮する6代目ボンドが初登場するシリーズ通算21作目。イアン・フレミングによる原作シリーズの原点『カジノ・ロワイヤル』を、本家シリーズとしては初の映画化。“007”として初めての過酷なミッションに挑む若きジェームズ・ボンドの活躍と“運命の女”との切ない恋の行方を描く。監督は「007/ゴールデンアイ」「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル。
> 殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得するため、昇格最後の条件である2件の殺害を実行したジェームズ・ボンドは見事ダブル・オーの称号を得る。そして最初の任務は、世界中のテロリストを資金面で支える男、ル・シッフルの資金を絶つこと。まずはマダガスカルで爆弾所有の男を追い、バハマ、マイアミでは武器売人と航空機爆破の阻止に奔走し、やがてル・シッフルに辿り着くボンド。すると、ル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることが明らかとなり、ボンドは更なる陰謀を阻止せんと現地へ向かうのだった。しかし、そんな彼のもとには、財務省からお目付役として美女ヴェスパー・リンドが送り込まれる。最初は彼女に対して懐疑的だったボンドだが、危険を共にする中で次第に心惹かれていく…。
故アルバート・ブロッコリの名がタイトルの前に流れ、久方ぶりに「原作」としてイアン・フレミングの名前が紹介されると、否が応でも興奮する。
パロディ版『カジノ・ロワイヤル(1968)』も好きだが、本家本元、スパイ小説の元祖としての原作の映画化を望んでいたOO7ファンは、決して少なくはないはずだ。
しかし、原作は既に50年も前の作品である。当然、現代を舞台にした映画として製作するには、数々の設定変更が必要となる。パロディ版にも登場していた宿敵・ソ連のスメルシュは本作には登場しない。
ル・シッフルもフランス人ではなく国籍不明で、彼を背後で操るテロリスト・グループにも具体的な名称ない(どうせアラブ系だろうけど)。
しかし、ではこの映画が原作を無残にずたずたにしてしまっているかというと、決してそうではないのだ。
ジェームズ・ボンドとル・シッフルとのトランプ勝負の心理戦、ル・シッフルの復讐(拷問の仕方もほぼ原作通りだ!)、そして意外な結末……。
映画は更にもう一つの結末を加えて、「OO7誕生」を印象付けるが、その展開は、これまでの映画化以上に、原作に忠実と言えるものである。即ち、原作がそうであったように、これはダシール・ハメットに始まるハードボイルド・ミステリーの系譜に連なるスパイ・ミステリーの傑作だということだ。
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12月03日(日)
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