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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■北九州くらいまでなら遠くない/舞台『イッセー尾形のとまらない生活2006in小倉』
「ガーデニング、ガーデニング、ヤッホー、ヤッホー」と歌っている太った息子。いつまでも出かけようとしない母親と、ちょっとボケてるんじゃないかという父親とのやり取り。電気屋がやってきて、衛星放送のアンテナを付けようとするが、隠していた「下半分だけの甲冑」を覗き見られてしまい慌てる。父親が賭けで負けて、上半分だけ取られてしまっていたのだ。
賭けに買った方もどうして上半分だけ取って行ったか考えると可笑しい。イッセーさんが太って見せるためにクッションの入ったセーターを着ているのだが、着替えた途端に急に痩せるので、それでまた会場に笑いが起きる。
2.「美容室」
銀髪のお婆ちゃんが美容室に飛び込みで入ってくる。店員に名前を聞いて「神宮司さん、あなたいいわね」「林さんって言うの? 林さんって人、私三人も知ってるわ。私の周りを林さんで固めてどうする気?」などとからかったり、「爪くらい自分で切るわよ!」と怒ったりストールを自慢したり、傍若無人。最後は椅子に座ったまま居眠り。
客待の椅子を勧められるのをマイムで演じるが、当然椅子は存在しないので座れない。どうするのかと思っていたら、「今は座りたくない気分なの」と笑って言ったのに受けた。寝ているだけの演技でも、引きこまれてしまうのはなぜなんだろう。
3.「コンビニ店員」
マコチャンという店員が、同僚とお喋り。自分の姉が結婚相手から探偵に調査されていると知って、向かいのampmにいる不審な男が探偵なのではないかと疑う。
イッセーさんが若い女の子の格好をしているだけでちょっと怖い。最前列の人には迫力だろうなあ(笑)。喋り言葉がイマドキなので、「超」とか「マジ」とか言っているのだが、最近の渋谷のコギャル(死語)は「マジ」は使わないで「ガチ」を使うと『言語』の二月号に書いてあった。マジ?
4.「ピザ屋」
ヤンキーなピザ屋が、ある会社に注文のピザを届けに来て、「山田さんいらっしゃいませんかぁ!」と怒鳴るのだが、肝心の山田は席を外している。ピザを本人に渡さない限り帰れないとピザ屋がごねるので、回りにたくさんの社員が集まってきて、ひとしきり応酬するが、やがて社員は「馬鹿は相手にするな」と離れていく。かえって興奮し始めるピザ屋。
ガタイのある社員に「ビザを置いていけ」と迫られて、ピザ屋が「これはピザじゃないッスよ、蛍光灯ッスよ」というのが私の笑いのツボにはまって大爆笑。蛍光灯も配達してくれる電気屋があると便利だよなあと思ったりする。
5.「欲張り」
交通整理の爺さん、かなり要領が悪く、旗をうまく振れない。離れたところにいる同僚の指示もよく分からなくて、しょっちゅう対向車を御見合いさせてしまう。「ああ、救急車と霊柩車がごっつんこ」。最後は嫌気がさしたのか、持っていた旗を投げ捨てて、「自分リストラ!」。
一番短いスケッチだけれども、キャラクターが爺さんでボケているのにテンポがよく、笑いの連続。イッセーさんには爺さんがよく似合うと言ったら失礼か。でも、九本のスケッチの中でこれが一番私の好みだった。
6.「ヒトミちゃん掃除婦」
ヒトミちゃんは掃除婦だけれども、仕事を始めた途端に「おトキさん」という幕末の霊に取り憑かれて、足が動かなくなったと言ってサボる。けれど同僚たちが一休みしてカステラを食べ始めたら、「おトキさんがカステラに興味があるんですって」と言って仲間のところににじり寄っていく。
イッセーさんの足芸が堪能できる一本。上半身と下半身が別のモノに操られているという演技が絶品。これはまさしく世界に通用する芸である。でも私は「おトキさん」の「明治維新の直前の江戸時代最後の日に死んじゃったから、未練が残っているのね」というディテールの細かさが往年の村上源治郎先生を想起させて面白かった。
7.「ボクシング」
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01月20日(金)
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