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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■危険が迫っていても手抜き/『GUNSMITH CATS BURST(ガンスミスキャッツ バースト)』1巻(園田健一)
天井板が落下した仙台市の「スポパーク松森」のプール、天井をつり下げる「つりボルト」に本来は横に渡しておかなければならなかった揺れ止め金具が殆ど付いていなかったことが国土交通省の調査で判明した。
プールの建物自体も揺れやすい構造になっていたそうで、テレビの取材に設計技師が答えていたが、殆どマトモに喋ることができておらず、どうやら設計段階からの「手抜き」だったようである。
国交省は芸予地震や十勝沖地震のときにも同様の事故があったとして、落下防止対策を取るよう、通知していたそうな。だとすれば、「スポパーク松森」はその通知を守っていなかったのか、忘れていたのか。どっちにしろ、地震が頻発していた地域ですら、対策が取られていなかった施設はあるという事実は変わらない。災害に対する意識の低さに、地域差はないようである。
福岡でも、地質研究の結果、再び地震が発生する確率は高まったと報告されているのに、「これでもう福岡に地震は来ない」と思い込んでいる人間はやたら多いのだ。あるいは、「天災だから悩んだって仕方がない」という開き直りである。私の場合は、どっちかというと後者に近い。地震が起きても大丈夫な土地があるなら教えてもらいたいものだが、だからと言って引っ越すカネだってない。またこないだよりデカイ地震が来たら、落ちてくる本に押しつぶされて死ぬしかないのだ。助かれば「ああ運がよかった」と思うだけである。
しかし、何度も言うように、個人はそれで構わなくても、行政が「天災だから仕方ないっスね」で済ましちゃ、大いにマズイのである。
地震調査委員会は、今回の地震は、本来「M7・5前後の地震が30年以内に起こる確率が99%」と想定されている宮城県沖地震とは別の地震だったと判断したとか。今回の地震が「呼び水」になる可能性も高くなったというわけだ。「スポパーク」の負傷者は、本来、怪我をせずにすんだはずの人たちだと思う。次の地震でまた同様の負傷者が出たとしたら、これはもう「人災」というほかはない。宮城のお役所の人たちが馬鹿じゃなきゃいいと願うばかりである。
マンガ、園田健一『GUNSMITH CATS BURST(ガンスミスキャッツ バースト)』1巻(講談社)。
園田健一の代表作が新シリーズで復活。『エグザクソン』のあと、何を始めるのかなあと思ってたら、やっぱりここに戻ってきたね。以前から単発で短編を描いていたから、予測はしていたのだけれど、やはりラリーの活躍が見られるというのは嬉しい。
私はガンマニアでもカーマニアでもなければ、園田健一の作るオハナシもそれほど好みではない。キャラクターがやたらココロもカラダも傷ついてしまうのだが、リアルな世界を描いているようでいて、単に作者のシュミなんとちゃうかという気がしてならないからである。簡単に犯される女の子キャラが多いのが何ともねえ。
じゃあなんでついつい買っちゃうかというと、やはりアクションの快感、これに尽きるんである。
マンガは当然「絵」だから、実は全く動いちゃいないのだが、それが「動いている」ように見せるためには、やはりレイアウトやコマとコマの間の取り方にセンスが必要になる。いしかわじゅんが安彦良和の絵について「動きが描けない」と指摘したのはまさにそのことで、安彦さんの絵は「止まって」いるのである(もちろん、止まっていたところでそれがすぐに欠点に繋がるわけではない。安彦さんを非難してはいないので勘違いしないように)。
同じアニメーター出身でありながら、安彦さんの絵が「止まって」見えて、園田さんの絵が「動いて」いるのはなぜか。一言で言ってしまえば、安彦さんの描くキャラクターは今でも「アニメーションのためのキャラクターデザイン」であって、「マンガ」にはなりきれておらず、それに対して園田さんの絵は、「マンガ」として確立しているからだと言える。
安彦さんはいしかわじゅんに反論して、「今でも中割りして見せられる」と主張されたが、それが大きな勘違いで、「中割りできるような絵」は、マンガの場合は読者の読むテンポを遅くし、さらには想像力を減殺してしまうことにしかならないのだ。
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08月17日(水)
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