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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■日田屋形船と鵜飼い見物/『仮面ライダー響鬼』二十七之巻 「伝える絆」
即寝かい。「いつでもどこでも三秒で眠れる」のは我が家の血筋のようだ。
バスを乗り継いで、天神の日銀前に9時半に到着。
参加者は総勢29名とか。殆どが爺ちゃん婆ちゃんであるが、親子連れも何組か。中年の女性同士もいるが、若い男女のカップルというのは見当たらない。
安い旅行をするにはバスハイクは結構穴だと思うんだけれど、やっぱりジジババ向きってイメージが邪魔してるのかもね。
帰省ラッシュで、時間通りに到着できないかも、という添乗員さんのアナウンスであったが、途中の高速道路は案外スムーズに行けた。
むしろ、最初の訪問地である「龍門の滝」に着いてからの方が、観光客が大挙して押し寄せていてバスを停める場所が全くなく、立ち往生してしまった。
仕方なく運転手さんが橋の真ん中でバスをいったん停めて、乗客を降ろし始めたのだが、後ろに付いていた車がこれに腹を立てた。「ワレ、何しとんじゃ! ちゃんと誘導せんかい!」とサングラスをかけたあんちゃんが車を降りてきて、運転手さんに向かって怒鳴ってきた。
私たちは、バスから降りてきてちょうどその場面に出くわしたのだが、父がいきなり「ちゃんと誘導しよるよ!」と口を差し挟んだので、一瞬、血の気が引いた。火に油を注ぐつもりかこのオヤジ、と思ったら、そう言い放った途端、そそくさとその場を離れてあっちに行ってしまったのである。って、おい。
後に残されたバスの運転手さんとサングラスのあんちゃんは、顔と顔を五センチくらい近づけて睨みあっている。乱暴でも働くようなら止めなきゃと、私も含めて何人か乗客が様子を見ていたので、ややあってあんちゃんは舌打ちして自分の車に戻って行ったが、全く冷や汗がドッと流れたことであった。
なんつーかね、オヤジもね、ボケかけてるとは言ってもね、こーゆートラブルの種撒いて自分ひとりだけとっとと逃げるようなマネはね、さすがにやめてほしいんだけどね。マンガだよこれじゃ。
昼食は「龍門茶家」といういかにも鄙びたよろずや風の店の座敷で、鮎の煮付けに名物だという鴨そば。「鴨」と言いながら入っている肉はあまり鴨っぽくなく鰯っぽかったが、汁は肉の味がしたからやっぱり鴨だったのかも。ニンジンが程よく柔らかく味が滲みていて美味い。こういう田舎そばはも一つ、こんにゃくが入っていたら極上なんだが、そこが物足りなかった。
「龍門の滝」は、日田から耶馬渓に至るまでの間に無数にある滝の一つで、ただ眺めるだけではなく、流れ落ちる途中が緩やかな棚になっていて、ウォータースライダーのように上から滑り降りることができるのが特徴である。言ってみるともう、ざっと見ても二、三百人くらいの観光客、キャンプを張った連中が滝の周囲に群がっていて、人を掻き分けていかないと川にも近づけないくらいの混雑ぶりだった。何とか水辺まで近づいて見たが、滝の近くの川の水は、普段は恐らく底まで透き通っているのだろうが、今はもう泳いでいる人たちのせいで泥まみれになっている。それでも子供たちはみんな気にせずに上からボードに乗って滑り降りてくるのだから、たとえ狭苦しくても楽しいことは楽しいのだろう。
この近辺は、こないだ『妖怪大戦争』にも登場した「川姫」の伝説が残っているあたりのはずなのだが、これでは獲物にも事欠かないが、引きずり込む場所もありはしないという感じである。
父が突然、「ああ!」と叫んだので、何事かと思ったら、「ここ、前にバスハイクできたことある!」。以前、秋口にやはりこのバスハイクに申し込んで、一人で来ていたというのだ。
「あのときは紅葉の時期も過ぎとって、全然人がおらんかったとに、夏場はやっぱり人が来るとばいな」
と、感心しているのだが、一度来ているのならそう何度も繰り返し来ることはなかったのである。やはりボケが来ているのだが、まだ「一度来たことがある」のを思い出せただけまだマシと言うべきか。
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08月14日(日)
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