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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■石井輝男監督、死去/『月館の殺人』上巻(綾辻行人・佐々木倫子)
 父はこないだから「新しく通帳を作れ」と言っている。微々たるものではあるが、残せる財産は姉にではなく私の名義の通帳に移したいというのである。それはそれで構わないのだが、本来は姉に譲るつもりだった店とか、勝手に売っぱらってその通帳にカネを入れたりしないかと、それが心配だ。私は別に姉とケンカするつもりなんかないのだが、勝手にそんなことをやられた日には、あとで関係がギクシャクするのは目に見えている。そうならないように目を光らせてなきゃならないわけだが、全く爺さんというのは余計な作業ばかり増やしてくれることである。

 店を片付ける父を待つ間、待合で「少年ジャンプ」のバックナンバーなどを浚い読みする。
 『ユート』の最終回などを見るが、全くの尻切れトンボで、ほったゆみさんの無念が偲ばれる。9月、11月に2、3巻が出で、そのときに描き下ろしで完結編が掲載されるようだが、それだけでもとても完結には至るまい。話はいいのに、マンガ家さんの絵にイマイチ花がないのがネックになったと思う。けれど、読者のレベルが“また”低くなっていて、やっぱり「キャラ人気」だけがアンケート評価の判断基準になってんだろうなあ、ジャンプは、と思うと、「サンデー」にでも移った方がほったさんにとっては活躍の場が広がるんじゃないかと、そんなふうにも思う。
 『デスノート』はどんどんセリフが上滑りになって行ってつまらなくなってるけど、まだ人気はあるのかな。ライトのとうちゃん、死んじゃったけど、こういうキャラは最後まで生かしといて、ライトの正体を知ってどう行動するかを描いた方がドラマチックになるはずなのである。作者が物語を展開させるのに倦みつつあるのではないかと、ちょっとばかし心配だ。

 五時を回ったころに、父のマンションまで移動。
 途中、本屋に寄って、マンガなどを物色。車を降りるときにやっぱり父はドアが開けられずにモタモタしてしまうので、しげが予めロックを外すようにした。細かいことをすぐ忘れるようになっているので、会わない時間をできるだけ少なくした方がいいような感じである。とは言え、平日とか覗きに行くのはちょっと難しいし、やはり散髪にかこつけて会いに行く方がいいかもしれない。
 マンションの来客用の駐車場、空いているかどうかが心配だったが、まだ時間が早かったので、余裕で駐車できた。
 迎え火は、父が焚き付けの新聞紙をうっかり全部ゴミ出ししてしまっていたので、仕方なくTVガイドを破って火を付ける。ところがマッチの火が付いてもこれがなかなか燃え広がらない。特殊なインクでも使ってるのか、燃えにくくなっているようで、ちょっと手間がかかってしまった。
 「お母さん、なかなか帰って来よらんなあ」
 父が寂しげに呟いたが、もしそうなら理由は何なんだろうね。
 父からはついでに「万葉の湯」にでも行かないかと誘われていたのだが、昨日から下痢がひどく、湯船でつい脱糞でもしたらエライことになってしまうので、それは遠慮することにする。あそこの食堂では今話題の「こどもびいる」を出しているので、行きたいことは行きたかったのであるが。
 代わりにマンションのはす向かいの「ジョイフル」で安い食事。一緒に外食するとなると、父はすぐに奢ろうとするので、こちらの方が父の財布を痛めずにすむ。「たまには高いものでいいやないか」と父は言うが、盆の時期はその「たま」が「しょっちゅう」になるので、これも父の言をそのまま鵜呑みにはできないところである。
 マンションに戻ったところで駐車場を覗いてみると、もう満杯になっていた。もし駐車できなかったら、今日は泊まらずにいったん自宅に帰ろうと考えていたので、これは父のせっかちのおかげである。
 父はもう居間に布団を用意してくれていた。昔の父ならこれも、「自分で押入れから出して勝手に寝ろ」と言うところだろうが、息子夫婦に妙に気遣いをするようになっているのである。こういうことをされる方がかえって寂しいんだがなあ。

 テレビを見ながら、横になった途端に疲れがどっと出て、先に眠る。

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08月13日(土)
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