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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■久しぶりにトンデモさんの話題/『スケバン刑事』12巻(和田慎二/完結)
 発売直前に宣伝係りに借り出されたのが女優の本上まなみ。イベントで 「クールでいて、ギリギリのナンセンスにあふれています。友人と見て『コレ、何?』って顔を何回も見合わすのは他にない」と絶賛したとか。アイドルやタレントを、一見畑違いっぽい作品の広告塔に使うことを昔はちょっとどうかなと考えていたものであったが(かつてウタダがダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を賞賛したのにはアタマを抱えた)、最近はこれも致し方ないかと思うようにはなっている。何しろもう、世間の人たちはこういう「引き」がなけりゃあ、ディズニー以外の外国の長編アニメになんぞ、全く興味を持たないからである。ヒョーロンカとかシキシャとかセンモンカとか、そんな人たちが声をからしても誰も見てくれはしないのだ。
 本上まなみの発言は、『ベルヴィル』の何を見て「クール」と評しているのか、「ギリギリのナンセンス」とはどういう意味なのか、顔を見合わせたからどうだというのか、何も言っていないに等しいというか、『ベルヴィル』以外の作品にだって流用できそうなくらいに陳腐なのだが、それでも私ごときが百万言を費やすよりもよっぽど若い人たちへの求心力は強いだろう。結局、「その作品を見たい」と思わせる最大の要素はいつの時代も「フィーリング」だからである。
 しょうがないから、私も改めて『ベルヴィル』の魅力をこう語ろう。
 「ヘイ、そこのbaby、ファンキーでファニーなBAHchanたちがグローバルにhopしちゃうGOKIGENなムーヴィーを見たくないKAI? それがこれ、『ベルヴィル・ランデブー』さ! 買って損はさせねえゼ、Ah,Hah!」
 ……あほか。


 午後から、しげの通院に付き添い。
 何となく学校の三者面談に向かう親のような心境で、別に苦情を言いに行くわけでも言われに行くわけでもないのに、何となく緊張する。待合で待たされている間も、診察室の中に入れてもらえるのだろうかとか、ありえないことを心配しているのである。私の方が神経症にかかっているみたいだ。
 始めてお会いしたカウンセラーの先生は、朴訥で誠実な好青年という印象。こういう仕事は患者に警戒心を持たれてはまずかろうから、誠実さというか人当たりのよさが一番の武器だというのは了解できるのだが、果たしてそれだけで充分だろうかという疑問もある。しげの心はかなり業が深いというか、ヤミの部分も内側にどんよりと漂っているので、そこまで掬い取りながら治療をして下さっているのかどうか、そこはちょっと掴み取れなかった。
 カウンセラーの先生の前では、しげは緊張しているのかやはり訥々とした喋りになる。自分のことがうまく適切に説明できないので、突然「世界がシュレジンガーの猫なんです」なんて口にする。慌てて私が「つまり世界が自分が知覚しているから存在しているようにしか思えないって言ってるんですよ」と、量子論の説明やらSF小説、マンガなどによく使われる設定であることを説明する。前提となる知識がないと何のことやら分からんことをポンポン口にしてしまうところがしげのコミュニケーション不全なところだ。
 私が「解説役」に回ったせいか、カウンセラーの先生からは「また時々来てください」と頼まれる。やはり本人とだけ対話するだけでなく、「周囲の人間がしげのことをどう見ているか」ということを説明することも大事なのだろう。もしかしたら、しげよりも私のアタマの方がよりイカレていて、私がしげに暗示をかけてしげをイカレポンチのように見せかけているだけかもしれないのだ。
 PPのみなさんで、ためしにしげと一緒に病院に行ってみたいという人、しげに申し込んでみませんか? カウンセラーさんは千客万来大歓迎で遠慮は要らないみたいだから、めったにない経験ができますよ(笑)。

 博多駅のゲイマーズ、紀伊国屋に寄って、本を物色。
 オムライスの店で晩飯、帰宅。

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07月29日(金)
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