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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■死者にムチ打て/『シティボーイズミックスPRESENTS メンタル三兄弟の恋』パート1
浦沢さんが自作に自信を持っているのなら、「インタビュー」という本人のコメントを中実に再現しているのかどうか分からないもので勝手に憶測ばかりされている状況を打破して、制作の事情を公開して「自分の言葉」で堂々と雁屋氏を論破すればいいし、小学館だって「葛飾北星原作」の文字を外して増刷に踏み切ればいいのである。自分が書いてもいない原作にクレジットされている葛飾氏のほうがよっぽど草葉の陰で自らの虚名に泣いていよう。逆に浦沢さんが何のリアクションもしないでこのまま『キートン』の絶版状態が続けば、雁屋氏の主張のほうが正しいということになってしまうのだ。印税目当てで、葛飾氏の名を小さくしようとした卑劣な人間、と後ろ指を差される事態にもなりかねない。あれだけの名作がこんなくだらない事態で読めなくなるようなことになれば、たとえその作品の描き手自身であろうと、責任は重大だろう。
真実が未だ不明瞭であっても、「『葛飾北星・原作』のクレジットについて、長いことクレームも付けずに放置してきた」点において分が悪いのは浦沢さんのほうだと思うのである。それって結局、「著作権を半分放棄してた」ってことになるんだからね。今までどおりの表記で、増刷、あるいは文庫化されるようにオトナとして引いてくれてもいいんじゃないかと思うんだけどなあ。
この『MASTERキートン』に関する「ウワサ」については、もうネット上のあちこちで批判の記事が書かれているが、特に「死人に口なし」「欠席裁判」な浦沢・長崎両氏の言に対する不快感がかなり大きいようである。なんか宮崎駿が手塚治虫死去直後に「手塚治虫のやってきたことは全て間違いだ」発言をやらかして手塚ファンの猛反発を呼んだときと状況が似てるよなあ。やっぱり誰かへの批判は「その人が生きてるうちにしとかないと卑怯」ってことじゃないのかね。「その人と一緒に仕事をしているときは悪口は言わない」なんてのは「キレイゴト」の「コトナカレ」でしかないのである。それで仕事が滞ったりトラブル巻き起こしたりしてる自覚がない馬鹿が世間に蔓延してるから、尼ヶ崎事故起こしたJR西日本みたいな体質をあっちこっちで作ってるんだからね。
仕事を一時間早引けして、L特急に乗り込む。
座席には、頬を紅潮させ、潤んだ目で私を待っていた女がいた。
っつってもこいつはしげなんで、別に浮気旅行に出かけようとしてるわけではありません。誰もそんなこと私がしてるとは思わんだろうが。
今日は『シティボーイズ・ミックス メンタル三兄弟の恋』の北九州公演の当日なのである。昨年まではゴールデンウィークの飛行機代が糞馬鹿高い時期に上京していたのだが、今年はついについに北九州公演があるということで、感無量である。もうアンケートにどれだけ「福岡に来てください!」と書いてきたことか。たとえ北九州公演でなくても長崎だろうが鹿児島だろうが、飛んでいったことは間違いない。私もしげもここ何日かはいささか興奮気味でなかなか眠れない日が続いていたのだ。
会場のリバーウォークまでは、特急を使っても小一時間くらいはかかるので、一度帰宅してから出かけていたのでは開演に間に合わない。それでしげには予め博多駅からの4枚切符を買って乗り込んでもらって、途中合流、という形を取ったのである。しげは、予定通りに会えてホッとしたのか、「おなかすいたろう」と声をかけたら、車内中に響き渡りそうな声で「腹減った!」と吼えた。残念ながらこちらも急いでいたので、弁当を買う余裕はなかった。会場ではよしひと嬢と落ち合う予定でもあるし、そのとき食事を一緒にすればいいだろう、と提案して我慢させる。
小倉駅に到着したのは5時をやや過ぎたころ。会場のリバーウォークまでの距離はバスで一駅ほどだが、歩いても10分ほどで辿りつける。開演は六時半だから、時間的には十分余裕がある。
けれどしげは眉間にシワを寄せた仏頂面で、いかにも機嫌が悪そうである。腹が減ってるときのしげはいつもこんな顔だ。気遣って声をかけたら、これがまたトンチンカンなやり取りになってしまった。
「食事は着いてからでよかろ? 指定席だから慌てなくていいし」
「指定じゃないよ、自由席だよ」
「え? ウソ!?」
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05月24日(火)
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