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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ダウナー、ダウナー/『ONE PIECE ワンピース』巻三十七(尾田栄一郎)
ジャンプシステムの最もよくない部分の影響を受けて(つまりは連載の「引き伸ばし」ね)末期症状に陥っているが、それに気がつかないでいるのは、信者的なファンと新参入の若いファンと、作者だけであろう。……って、前2者が半端じゃないくらい数がいるから、連載がいつまでも続いてるんだろうけど。
ウソップに続いて、ニコ・ロビンも麦わら海賊団を離脱しそうな気配だけれども、ウソップだけだと「どうせまた戻ってくるんだろう」と読者に先読みされてしまうので、もうちょっと「押しとく」必要性を感じてのこの展開だろうか。でも、こういう謎を残した形で「もう二度と会うことはない」とロビンに言わせたところで、ドラマツルギーがそれを許すはずもない。ここまで物語を「仲間」をキーワードに紡いでおいて、それがあいまいな理由のまま放置されていいはずがないのだ。
ウソップもロビンもいずれ麦わら海賊団に戻るか、そこに至らないまでも、何らかの形での「絆」を結びつづけていくことは確実なので、中途半端に離散するように見せかける展開はかえって嘘臭い。麦わらの一味崩壊の危機感がないから、「出来レース」にしか思えないのである。
こういう出来レースを何度もかましてくるあたり、尾田さんの作劇術が破綻している証拠なので、「末期症状」と言わざるを得ないのである。……いやね、これでロビンが本当に二度と登場してこなかったら、それはそれですごく意外な展開になるのだが、そうなったほうが読者は作者を許さないんじゃないかね。
ルフィもゾロもいとも簡単にサイファーボールの連中にやられちゃってるが、これもまた「敵のインフレ状態」でしかないので、緊迫感も高揚感もゾクゾクもドキドキもワクワクもない。しかも今巻、後半はルフィたちがまるで出てこないのだ(フランキーを仲間にするための、いつもの「回想」だとしても長い。しかもやっぱりナミやチョッパーと同じく「育ての親の死」のパターンだ。もう二番煎じ、三番煎じでこうも感動を押しつけらけたって、涙も出やしないのだ。
それでもこうして、単行本を続けて買ってるのは、何だかんだ言っても尾田栄一郎が鳥山明なきあとの(死んでないって)、ジャンプマンガを支えている才能の持ち主であることに違いはないからだ。このまま「引き伸ばし」でせっかくの尾田さんの才能を枯らしちゃいかんと思うよ、本気で。それでつまんないマンガしか描けなくなったマンガ家が山といること、昔からジャンプ読んでるファンなら知ってるよな?
05月11日(水)
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