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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■人を呪っても穴がない/『D.Gray-man(ディー・グレイマン)』4巻(星野桂)
 例えば、JR西日本の過剰な管理体質が問題だ、とするのならば、事故後もオーバーランがやたらあった、と報道するのはその視点がズレちゃってるんじゃないか? と感じるってことなのである。結局、それらのオーバーランを起こした運転手たちが「どういう処分を受けたか」は全く報道されていない。それじゃあ、JR西日本の体質が変わったのかどうかまでは分からずじまいじゃないの。たとえオーバーして定刻に遅れるようなことがあったって、もう事故前のような運転手苛めのような懲罰は下さなくなった、と報道するのなら分かるんだけど。

 「報道に対する違和感」は更に広がっている。
 事故が起きた先月の25日、JR西日本大阪支社天王寺車掌区の区長ら職員43人が、発生から約3時間後に、懇親目的のボウリング大会を開催していた、という二ユースも、聞いたときには「何でこの非常時に?」と確かに呆れはした。事故を起こした管区の人間がそんなことをしていれば、それは確かに非難の対象になるだろう。
 しかし、この区長さんがテレビに出て頭を下げながら言った言葉を聞いて、あれ? と思った。「自分の管区外だということで、自分も行かなければならないという認識に欠けておりました」というような趣旨の言葉を口にしていたのである。
 えーっと、大阪の地理には詳しくないのだが、事故現場と天王寺って、近いの? 遠いの? 管区が違っていても、近場で事故が起こっているのなら駆けつけなかったのは人としてどうかとは思うけれども、普通、管区外の人間が公的に認められた休暇取ってたからと言って、責められる筋合いのもんじゃないんじゃないのかねえ。 マスコミの報道の仕方の「いやらしさ」は、このことをこんなふうに「歪めて」伝えている。
 「天王寺車掌区は阪和、関西線などが管轄で福知山線と直接関係ないが、同じ大阪支社管内」。なるほど、こういう表現の仕方だと、たとえ管区外だろうが駆けつけるのが当然で、事故を無視するのはおかしい、という印象になる。けれどこれって簡単に「天王寺車掌区は、大阪支社管内ではあるが、阪和、関西線などが管轄で、福知山線と直接の関係はない」って言い換えられる。それぞれ自分の地域に当てはめて考えていただければ分かるんじゃないかと思うが、「同じ大阪」って、やたら広いと思うのである。福岡で考えたって、博多区で起きた事故に東区の連中が出張ってきたら、かえって現場が混乱することだってあるんじゃないか。人手が足りないなら足りないで、改めて休暇返上で召集をかけるのは、それこそ、上層部の仕事なんだから、責任が重いのはやっぱりそっちのほうだろう。マスコミ、何を「下っ端イジメ」やってるんだか。
 それに、区長は放送で事故のことは知ってたと言うけれども、その放送内容自体が当初は死者が出ていることも告げず、「踏切事故」程度のことしか言ってなかったっていうじゃないの。だったらレクリエーションに行こうって判断したとしても仕方がないと思うけどな。繰り返すけれども、責められるべきなのは、現状把握が事故後何時間経ってもできなかった上層部にあるとしか思えないのである。
 当該の電車に乗っていながら現場から出勤した阿呆とは、状況が違う(あの阿呆たちは、たとえ上司が出勤せよと命令しても、「あほかお前は!」と罵倒すべきであった。上司に逆らえないと言うのなら、人間辞めちまえ)。それをなあ、もうどこまでこのニュースで「引っ張りたい」のか知らないけれど、マスコミのアラ探しも今に始まったことではないが、今回は特にひどすぎやしないか。ボウリング大会の後、どこぞの宴会場で開かれた二次会の現場まで出かけて行って取材なんてしてやがるが、誰がそこまでしてくれと頼んだ。「みんな楽しく酒を飲んでいた」とか、そんなニュースまで知りたがるやつなんて、どれだけいるって言うんだよ。

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05月05日(木)
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