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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■残務整理の日々/『チキンパーティー』2巻(金田一蓮十郎)
寝室で寝ていたら、地震で積み重ねていた本がまた落ちてきて、耳を直撃したそうである。それがまた、押井守・藤原カムイの『犬狼伝説』豪華版ボックス。こないだ『大漢和辞典』に埋もれて苦しんだくせに、何でそんなかさばるものを枕元に積み上げておいたかな。記憶力も学習能力もないやつは同じ失敗をいつまでも繰り返すものであるが、こんなに早く同じ落とし穴にはまるというのは、いくらなんでもバカ過ぎないか。
トンガリさん関係の資料もまとめて、私の後任の同僚に手渡す。
その際、これまでトンガリさんのしてきた横領のこととか、それをいろいろ補填して結果的には横領にならないように私が四苦八苦してきたこととか、伝えるべきかどうか迷ったが、結局は全部事細かに伝えた。
と言うのが、その件について上司に相談したときに、こっそりと「実は転勤がなければ、来年も藤原さんにトンガリさんの担当をしてもらおうと思ってたんですよ」と教えてもらったからである。これまで私の進言を散々無視し、トンガリさんの暴走を放ったらかしにしておきながら、その私に泥をかぶれというつもりなのか、とさすがに腹が立ったので、もう後任の同僚には事情を全部知っておいてもらったほうがよかろう、と判断したのである。
トンガリさんの代わりにしていた仕事、この一年間だけでファイルにした資料が5、6冊分にはなっていたのだが、それを何とか圧縮して2冊にまとめて説明する。説明しながら、自分でも「こんな大量の仕事を、オレ、真面目にやってたんだなあ。自分のでもないのになあ」と苦笑する。見返してみて、驚くくらいに手を抜いていないのである。オレってもっと、スチャラカでスーダラな社員じゃなかったのか。無責任な社会に対しては個人の無責任で対抗するしかないというのがモットーじゃなかったのか、と心の中で自問自答してみるが、考えてみれば問題社員を放置して転勤してしまう点では私もやっぱり無責任なのである。
でももともとトンガリさんに対して責任持たなきゃならない義理なんてないんだからな。あとは野となれ山となれである。
マンガ、金田一蓮十郎『チキンパーティー』2巻。
他人事に首を突っ込みまくり、お節介なくせに役立たずでかえって事態を悪化させてしまうことも多いのに、ウルトラハイパーなポジティブシンキングで自分がどれだけメイワクな存在か自覚できない「トリさん」。いったんは開発者の「野村さん」に処分されかけたけれども、ヒロインの「毬央」の涙のとりなしで、本人(鳥)の気が付かないうちに命が助かる。もちろん後で毬央は死ぬほど後悔するのであるが(笑)。
このトリさん、相手の事情を思いやってるようで実は自分の中の正義感に浸っているだけで、まるでいつぞやのイラクの人質三馬鹿大将みたいなやつで、もしも実際に傍にいられでもしたら鬱陶しくて堪らないだろうが、これがそのセリフのうざったさに相反して、それほど憎めないのである。たとえば「毒舌OL姉妹」の本音トークを聞いて、いつもなら説教垂れに怒鳴り込むところが躊躇してしまうあたりに、「ああ、つまりこいつは『青春の夢』に酔ってるんだなあ」と微笑ましく感じてしまうからである(もっとも、次の回ではついにキレて説教垂れてボコにされてしまうのだが)。みなさんの傍にもこんな感じの「余計なお世話焼き」がいるかもしれないが、こういう人たちが「世の中まちがっとる」と言いながら、報われもしないのに真面目に働いているからこそ、世の中が成り立ってもいるのである。あまり邪険にしないように哀れんであげていただきたい。「トリさん」も働いてはいないが、「ボランティア」は大好きなようである。……なんかホントに三馬鹿そっくりだな。
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03月24日(木)
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