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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■PTSD?/映画『鉄人28号』
慌ててしげに「無事か?」とメールを打ったが、返事は「何が?」と何のことか見当がつかない様子。「地震だよ!」とまた送ると、「小さかったよ?」と暢気な返事。
何が小さいものか、このときの地震は後で報道されたところによると、「本震以降では最大の余震」だったのである。震度は福岡市西区・玄界島、福岡県前原市、志摩町、新宮町で震度4を観測。震源の深さ約10キロ、地震の規模はマグニチュード5・1。
しげは本震のときには私以上の本の山崩れに遭って、身動きできなくなっていたというのに、生来の鈍感のせいか、うらやましいくらいに恐怖を感じていない。気象庁の観測によれば、20日以降の余震の累計はこの時点で147回。震度3以上の余震は8回も起きているのだが、しげはこのうちせいぜい二、三回しか感じていない。ニューロンがホントにどこかでハザードを起こしてるんじゃないかと勘ぐりたくなるくらいのニブさだ。
こういう幸せな人間のそばにいると、どうしたって運命の不公平というものを実感せざるを得ない。ソクラテスは絶対運命論者であったと思うのである。
夜、「ダイヤモンドシティ」で、しげはカルチャースクール「ボクシングエクササイズ」の見学。こないだまでの「太極拳」は「ぬるい」ので、こちらに切り替えるつもりだそうだ。その間、私は「フタバ図書」で本を物色。しげの見学が終わるまでフードコートで本を読む。
横山光輝『狼の星座』1巻。
諸事情でこれまでずっと絶版だったものがようやく復刊。どうしてこれまで再刊されなかったのかは、連載時にこのマンガを読んでいた人には見当がつくことだろう。要するに「日本人馬賊」の伝記マンガなので、お隣さんの国情に配慮してたってことなんである。
主人公・大日向健作のモデルとなっている実在の小日向白朗、これは馬賊とは言っても流浪する自警団のようなもので、弱きを助け強気をくじく、中国民衆のために尽くした日本人の誇りのような人物である。
こういう人が実在していたというのも驚きだが、「中国人を助ける日本人」が少なからずいたという事実は、日本に対する敵視政策を続けるアチラさんにとっては極めて都合が悪いわけである。おそらく横山さん自身も生前はそのあたりを鑑みて、『狼の星座』の再刊は許してこなかったのだろうが、こんなふうに「作者が死なないと日の目を見ない」マンガがあるような状況は決して正常とは言えない。いや、作者が死んでもなお封印され続けているマンガがいかに多いことか。
たいていの人間が「人権擁護」の美名のもとに「人間の自由(表現の自由どころではない)」を圧殺していることに気づいていながら手をこまねいているのはどういうわけか。ネットの便所の落書き化が進むのはそれらの圧迫に対する反発も大きい。モラルの低下を嘆くのであれば、まずはメディアが「自主規制」などという下らない差別を撤廃し、圧力をかけてくる似非人権団体(たいていの人権団体が似非であるが)を黙殺するくらいの勇気を持たなきゃしょうがないんだが、どうせそんなことできっこないんだろうねえ。
それならもう私は、「ネット万歳、便所の落書き万歳、悪口陰口大歓迎」と唱えるしかないのである。社会がモラルを無くしているのに個人にモラルを求めるのは本末転倒というものだ。……てなことはもう40年以上前に青島幸男が言ってんですね。はい。
しげと待ち合わせて、「ワーナーマイカル福岡ルクル」で、映画『鉄人28号』。
予告編をご覧になっておられる方はお分かりの通り、鉄人もブラックオックスも、CGによって描かれていて、その出来はもう、アレである。しげが「……プレステ2?」と思わず口走ってしまったが、まあ、そんなもんだ。アングルに凝ってよ、タイミングに凝ってよ、音響に凝ってよ、なんとか「それらしく」見せようとがんばってるけどさ、どう贔屓目に見たって鉄人もオックスもその質感は「食玩」に、その動きは「ポリゴン」にしか見えんのよ。殴り合ったって、表面は全然傷も負わなきゃヘコミもしねえし(へこまないのは超合金だからだ!なんて言い訳ですむ問題ではない)、倒れても「重み」はねえしよう。視覚効果は『ゼイラム』の松本肇。ああ、この人はついにこういうところに行っちゃったのだねえ。
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03月22日(火)
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